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テーパリングとビットコイン価格の関係性【仮想通貨取引所の元トレーダーが考察】

発行済 2021-10-20 15:39
更新済 2021-10-20 16:05
テーパリングとビットコイン価格の関係性【仮想通貨取引所の元トレーダーが考察】

今回は、テーパリングとビットコイン価格の関係性について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  • 金融政策とテーパリング

     

    1-1. テーパリングとは何か

    1-2. 金融政策とは何か

  • テーパリングがビットコインに与える影響

     

    2-1. 過去の例では二度、ビットコイン価格は下がっている

    2-2. 今回、ビットコイン価格を左右するファクターは?

  • まとめ

「アメリカのテーパリングがいつから始まり、政策金利の上昇がいつから始まるか」は、2021年の金融市場最大のテーマと言っても過言ではありません。株式市場・債権市場・外国為替取引市場において、テーパリングに関する情報が出るたびに大きな値動きにつながっています。

 

そして、こうした要素は少なからずビットコイン価格にも影響を与えるでしょう。そこで今回は、テーパリングについて理解し、ビットコインの価格にどのような影響を与えるのかという点について考察します。

①金融政策とテーパリング まずはテーパリングそのものを理解するために金融政策とテーパリングについて解説します。

1-1. テーパリングとは何か 昨年春から、世界中でコロナウイルスの影響による経済対策が行われています。

世界の基軸通貨たるドルを要するアメリカも例外ではなく、2020年3月6日以降で約3兆ドルの経済対策を行い、2021年に入ってからも9,000億ドルの追加経済対策を行っています。アメリカでは、この経済対策で実施された個人給付金など資金の多くがロビンフッド(Robinhood)という証券会社を通じて株式市場に流入した事も話題となりました。この流れは米国の仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)でも確認されています。

経済対策は政府主導で行われるものです。中央銀行であるFRBは政策金利を下げるとともに、毎月1,200億ドルの国債とMBS(モーゲージ証券)を買い入れるオペレーションをしています。政策金利を下げて市場の通貨供給量が増えるとインフレが発生しますが、実際に現在アメリカでは2%を超える高いインフレが続いている状態です。

このままFRBがインフレ率の上昇を放置していると経済が不安定になるため、まずは現在行っている資産買い入れを通した量的緩和を縮小し、その後ゆるやかに政策金利を上げていく予定です。FRBによる資産の買い入れ額を減少し始める事が「テーパリング」です。

1-2. 金融政策とは何か 金融政策とは中央銀行が行う経済政策のことで、テーパリングは金融政策のひとつのオプションです。

中央銀行は、アメリカではFRB(連邦準備銀行)、日本では日本銀行にあたり、国の金融の中心となる存在です。通貨発行権や政策金利の決定などその国の経済を左右する重要な役割を担う機関です。 中央銀行の役割は、銀行の銀行として市中銀行に対して資金の貸し出しや預金の受入れなどをすることや、政府の資金を管理すること、物価の安定や経済成長を円滑に実現するために金融政策を通してそれを実現することです。

中央銀行が行う金融政策は主に以下の3つに分けられます。

 

  • 政策金利の決定
  • 支払準備率操作
  • 公開市場操作(オペレーション)

政策金利とは、「中央銀行が市中銀行に貸出をする際の金利」です。政策金利の役割は、通貨の流通量のコントロールする事です。金利が低い時は資金調達コストが下がるため金融機関は資金を借入れやすくなり、結果的に貸出先である顧客に低い金利で資金を提供することができます。

 

金利の低さは顧客にとって資金の借りやすさにつながり、通貨の流通量が増える結果となります。逆に、金利が高いときは資金調達コストが上がり、金融機関は資金を借りづらくなると同時に顧客に対して高い金利で資金を提供せざるを得なくなります。結果的に顧客も資金を借りづらい状況となり、一般に流通する通貨量が減ることとなります。このあたりは次項で詳細を解説するため省略します。

次に、支払準備率操作についてご説明します。市中銀行は将来の預金の払い戻しに備えて、預金残高のうち一部を法定準備金として中央銀行に預けておく必要があります。預金残高のうち何割を法定準備金として預け入れる必要があるのかの割合を支払準備率といいますが、この支払準備率を操作することを「支払準備率操作」と言います。

支払準備率を引き上げると市中銀行の資金は減少するため、市場に流通する資金は減少して市場の金利は上昇する傾向になります。反対に準備率を引き下げるという銀行の資金が増加し、市場の金利は下降する傾向となります。

「公開市場操作(オペレーション)」の中でも、資金供給のために中央銀行が国債などを購入することを買いオペレーション、逆に中央銀行が国債などを売ることを売りオペレーションと言います。買いオペレーションをした場合は金融機関の資金が増えることとなり、売りオペレーションした場合は資金が減ることになります。結果的に、買いオペレーションの場合は金融機関の金利は下降する傾向となり、売りオペレーションの場合は上昇する傾向となります。

金融政策が緩和されている時は、いわゆるリスクオンの状態となりリスク資産とされる株式などの価格が上昇します。逆に金融政策が引き締められている時は、リスクオフの状態となりリスク資産の価格が減少する傾向にあります。

テーパリングがビットコインに与える影響 次に今回のテーパリングがビットコインの価格に与える影響を考察します。

2-1. 過去の例では二度、ビットコイン価格は下がっている テーパリングは今回が初めての出来事ではなく過去に何度か行われています。2014年にアメリカでの量的緩和が終了したとき、ビットコインはしばらく低迷していました。また、2018年に実際にテーパリングが行われた時も再び低迷をしました。金融政策が引き締めの方向に動いている時は、リスク資産と呼ばれる株式などからは資産が流出しやすい傾向となります。

ビットコインは2021年6月10日、金融機関の国際規制機関であるバーゼル銀行監督委員会により最もリスクが高い資産に分類する案が出されています。いずれにしても仮想通貨が資産分類としてはリスク資産とされると考えてよいでしょう。2014年と現在のビットコインは置かれている環境が大きく異なると思われるため、現在の動きを信頼した方がいいかもしれません。

2-2. 今回、ビットコイン価格を左右するファクターは? まもなく開始されるテーパリングに伴い、ビットコイン相場を左右するファクターはどのようなものが挙げられるのでしょうか?

まず、下落が想定される株式市場からの資金流入が起こるか否かです。株式市場のプレイヤーは、大口投資家である金融機関から、ロビンフッターと呼ばれる個人投資家まで様々な属性のプレイヤーがいます。

金融機関などの機関投資家はビットコインをリスク資産と見ているため、同じくリスク資産である株式からの流入はさほど発生しないという見方が妥当です。同時に仮想通貨からの資産移動も発生する可能性が高く、これまでの前例と同じく売り圧力となると考えられます。

一方で、ロビンフッターなどの個人投資家は、機関投資家よりもリスク選好度が高く一人当たりの投資額は数千ドルと低くても3,900万人いると言われています。彼らの動向がビットコイン相場にも大きく影響を与えそうです。 ロビンフッターの多くは投資初心者であるため、初動においては現在保有する株式を売り、政府通貨として保管した上で、仮想通貨市場がある程度下落した後に買い圧力となる可能性も十分にあると考えられます。

いずれにしても、過去と同じようにビットコイン相場も初動は下落すると予想しつつも、実際の状況を判断しながら柔軟にトレードしていく事が必要でしょう。

③まとめ ビットコインに限らず、金融取引は過去の似た状況において発生した事が再び起こると考えて取引をするのが妥当ですが、必ずしもそうならないところに難しさがあります。過去の事例を把握して行く必要はありますが、その時その時の状況に応じて判断できるようになる必要があります。

そのため常日頃から、GMOコインやbitbankなどの仮想通貨取引会社が提供するニュースなどをしっかりとチェックしておくことが大切です。

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