■今後の見通し1. 2020年2月期の業績見通しキャリアリンク (T:6070)の2020年2月期の連結業績は、売上高が前期比16.3%増の21,668百万円、営業利益が同124.9%増の422百万円、経常利益が同44.5%増の419百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同64.7%増の281百万円と大幅増収増益となる見通し。
民間企業向けBPO大型プロジェクト案件が業績の影響が出ない水準まで縮小し、業績面でのマイナス要因がなくなったことに加えて、キャッシュレス決済関連業務の売上が492百万円から2,624百万円と5.3倍に急拡大することが主因だ。
また、JBSについても前期に計上した一時費用がなくなることもあり、若干の黒字転換を見込んでいる。
費用面では、キャッシュレス決済関連業務の拡大に向けたスタッフ募集など人件費関連のコストが増加するものの(新卒社員は30名採用)、増収効果で吸収する。
また、保守的な業績計画を発表したようだ。
具体的には、受注が確定している案件のみを売上計画として積み上げている。
2019年10月に予定されている消費増税関連業務の受注が見込まれるが、今回の計画には織り込んでいない。
過去実績から見れば、同案件だけで数億円規模の売上が期待できることになる。
また、足元の受注状況も計画に対して順調な滑り出しとなっているようで、業績は会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。
BPO関連事業部門を除くすべての部門で2ケタ増収となる見通し2. 事業別の売上見通しと営業戦略(1) BPO関連事業部門BPO関連事業部門の売上高は前期比4.4%減の86億円を見込む。
前述したようにキャッシュレス決済関連業務の拡大が見込まれるものの、一部案件がCRM関連事業部門や一般事務事業部門に移行する影響や、消費増税関連業務等のまだ未確定受注分を売上計画に織り込んでいないことによる。
なお、キャッシュレス決済関連業務とは、小売店舗等に対してQRコードを利用したキャッシュレス決済の導入提案を行う業務となる。
2018年10月以降、首都圏エリアを皮切りに全国主要都市に営業を展開している。
2019年2月からはコンタクトセンターを活用した電話による営業も開始しており、営業スタッフの不足している地域を中心にカバーしていく。
業務が軌道に乗れば売上総利益率で全社平均を上回る水準まで引き上げていくことが可能と見られる。
また、営業系人材サービスでは、携帯キャリアの技術革新(5G需要)等を見据えた新規営業商材の開拓に向けた取り組みを進めていく。
2020年以降、5G を活用したサービスやデバイス等の新規市場が創出される見通しで、携帯キャリアや販売代理店などをターゲットに営業支援ビジネスの基盤強化を図り、2021年2月期以降の立ち上げを目指していく。
そのほか、DSBとの協業による金融・SIer向けビジネスの拡大や、官公庁向け案件の受注獲得による公共BPO分野の業績定着と成長基盤の強化、サービス品質の管理徹底による競争力強化と利益率向上などにより更なる差別化を推進していく方針だ。
(2) CRM関連事業部門CRM関連事業部門の売上高は前期比50.3%増の43億円を見込んでいる。
JBSとの協業により、新たな金融機関との取引が開始されるなどシナジー効果が出始めているほか、札幌や仙台、福岡、沖縄など地方都市におけるテレマーケティング事業者向け派遣需要が伸びる見通し。
地方拠点における旺盛な需要に対応するため、高付加価値人材の確保を行い、新規登録者の誘致・マッチング力の強化に取り組んでいく。
(3) 一般事務事業部門一般事務事業部門の売上高は前期比28.9%増の43億円を見込んでいる。
JBSとの協業による受注拡大や一部BPO案件からのシフトもあって2ケタ増収となる見通し。
競争の激しい分野であるが、継続的な料金交渉を実施し、適正な待遇と利益率の改善に取り組んでいく。
また、スタッフのキャリアパスを実現するためのフォロー活動(資格取得支援)を継続的に実施しており、高単価な金融案件の受注獲得を推進していく。
(4) 製造系人材サービス事業製造系人材サービス事業の売上高は前期比32.0%増の41億円となる見通し。
主力の食品加工分野を中心に事業拡大を図る。
営業拠点として尼崎支店を開設したほか、首都圏でも埼玉に続いて新たに2拠点の開設を予定しており、新規顧客の開拓を進めていく。
人手不足が続くなかで、主婦やシニア層だけでなく、外国人労働者も積極的に活用していく方針で、外国人向けのキャリアプランや支援サービス等の就業環境を整備し、留学生等の採用拡大を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)