■事業概要1. 特長日本モーゲージサービス (T:7192)は、フラット35など「住宅ローン」を取り扱う金融会社であり、連結子会社のハウスジーメン、住宅アカデメイア、一般社団法人の住宅技術協議会の4社からなる企業グループ(MSJグループ)である。
このグループによって、住宅産業に特化した住宅関連企業の事業を支援する様々なサービスを展開しており、キャプティブ・ファイナンスを事業の本質とする、総合的な住宅金融ソリューション企業グループである。
最大の特徴は、企業間取引を主体としたBtoB(toC)企業であること。
(誰に)住宅関連事業者に(何を)住宅に関する金融や保険を(どのように)事業支援を目的に提供する。
というように、同社グループの直接の顧客は消費者ではなく住宅関連事業者であり、住宅ローンや住宅保険等の商品を、住宅関連事業者の事業支援を目的として、キャプティブ・ファイナンスの方式で提供しているのが特徴である。
2. 強み住宅、金融、ICT(情報通信技術)の3つを融合した、オンリーワンの業態が同社の強みである。
それぞれの事業を部分的に見ると、同様のマーケットや競合が存在しているが、これらを融合している業態はあまり例がない。
「住宅金融」というニッチなマーケットを創造し深掘り(住宅産業の問題解決をチャンスと捉え、事業領域を拡大)することで、オンリーワンの事業領域を実現しており、差別性が高い。
3. MSJグループ住宅は、他の耐久消費財と根本的に異なる特性を持つ商品であるため、特有の課題が発生する。
同社グループは、この「課題」をビジネスチャンスと捉えることで、産業や社会のニーズに応える商品を開発し、事業を拡大。
許認可の関係により4つの法人に分かれているが、事業の推進はグループ一体、ONEマーケティングにより行っている。
日本モーゲージサービス住宅販売にはなくてはならい住宅ローン(MSJフラット35など)の貸付および媒介、住宅金融支援機構の住宅ローンに関する業務の代行関連業務などを提供する。
住宅ローンを取り扱う他のモーゲージバンクサービス事業者と一線を画すのは、「住宅関連企業の経営課題を解決する」というスタンスであること。
そのためにアライアンスパートナー制度により、住宅ローンにとどまらない、総合的なソリューションを提供している。
ハウスジーメン2000年に住宅性能評価機関として登録を受けており、2008年には国土交通大臣により住宅瑕疵担保責任保険法人に指定。
以後、法定保険(住宅瑕疵保険)を中心に住宅の品質を向上させるための検査・審査商品(住宅性能表示、フラット35住宅適合証明検査、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)評価など)を提供している。
住宅産業は、市場を担うプレイヤーのうち圧倒的多数を中小の事業者が占めており、住宅瑕疵保険はその中小事業者の大半が加入するため、ハウスジーメンは多数の取引先・提携先(チャネル・ネットワーク)を有するのが特徴である。
住宅アカデメイア同社グループにおいて、住宅産業における経営課題の解決と、新たなビジネスモデル構築を担う。
主力商品の一つとなっているのが、ストック住宅向けの保証プログラム。
住宅設備延長保証や住宅メンテナンス保証など、住宅が完成した後の住生活に対応する商品を取り扱う。
その他、住宅関連企業全般を対象とした事業サポートのほか、商品開発などのコンサルティングや、情報システムの企画・提供などを行う。
一般社団法人 住宅技術協議会2008年の設立より、地盤の品質の確保のために、住宅地盤などに関するサービス(地盤保証など)を提供する。
ストック住宅事業モデルとして「生涯顧客化モデルを提唱」同社グループは、ストック住宅事業モデルとして、「生涯顧客化モデル」を提唱している。
家を売る→家を建てる(設計施工)→アフター・メンテナンスをする→再販・中古住宅流通というように、新築住宅の完成引き渡し以降も定期的、適切な点検やメンテナンスの実施、売却サポートなどの幅広い収益を確保し、再販によって住宅の所有者が変わっても永続的に収益につなげるビジネスモデルを提唱。
同社グループは、これらのプロセス全体において、様々な住宅金融商品を品ぞろえし、住宅関連事業者を支援している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)