[ワシントン 6日 ロイター] - 米労働省が6日に発表した2月の雇用動態調査(JOLTS)で、求人件数が予想以上に増加し約2年ぶりの高水準を付けたほか、採用件数も増加した。新型コロナウイルスワクチン接種の進展に加え、政府の追加景気対策で需要が押し上げられたことが雇用増につながっている。
オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)のリード米国担当エコノミスト、リディア・ブソル氏は「抑え込まれていた需要(ペントアップデマンド)の解放に企業が準備を進める中、労働需要は過熱し続ける」と指摘。ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のチーフ・エコノミック・アドバイザー、ジョン・ライディング氏も「労働需要の高まりが改めて確認された」と述べた。
ただライディング氏は「潜在的な労働力の供給余力に比べると、現在の労働需要の水準はなお低い」とし、「労働市場の改善は続いているが、連邦準備理事会(FRB)が完全雇用が回復されたと見なす条件には程遠い」と指摘。ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ソフィア・コレペスキイ氏も、新型コロナウイルス変異株の広まりのほか、感染拡大抑制策に従わない意欲が薄いことで、コロナ禍による経済への影響が長引く恐れがあるとの見方を示した。
求人件数は740万件と、前月から26万8000件増加し、2019年1月以来の高水準を付けた。増加は2カ月連続。求人率は4.9%と、前月の4.7%から上昇し、過去最高を記録した。
ロイターがまとめたエコノミスト調査では、求人件数は699万5000件に増加するとの予想が示されていた。
業種別では、ヘルスケア・社会支援が23万3000件増、パンデミックで最も大きな痛手を受けた宿泊・飲食が10万4000件増、芸術・エンターテインメント・娯楽が5万6000件増。一方、州・地方政府、教育サービス、情報は減少した。
採用件数は570万件と、27万3000件増加。採用率は4.0%と、3.8%から上昇した。業種別では、宿泊・飲食が22万件増加。一方、州・地方政府、教育は減少した。
レイオフ件数は180万件と、前月の170万件から増加。金融、保険でレイオフが増加した。レイオフ率は1.2%と、横ばいだった。
自発的な離職件数は340万件と、前月の330万件から増加。自発的な離職率は2.3%と、横ばいだった。自発的な離職率は、労働市場における信頼感の水準を見極める指標として政策担当者が注目している。ただ、学校の対面授業が限定される中、多くの女性が子どもの面倒を見るために離職せざるを得ない状況に直面している。
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