[ワシントン 7日 ロイター] - 米商務省が7日に発表した2月の貿易収支は、景気が他国より早く持ち直す中、赤字額が前月比4.8%増の711億ドルと過去最大に達した。大規模な景気刺激策により米経済は約40年ぶりの大幅な成長を遂げる見込みで、今年は赤字が高止まりする可能性がある。市場予想は705億ドルの赤字だった。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「財政刺激策に加え、年後半に議会を通過する可能性のあるインフラ投資法案を受け、経済が強まることから、今年と来年は大規模な赤字の継続が見込まれる」と述べた。
輸入は0.7%減の2583億ドルだった。モノの輸入は0.9%減の2191億ドル。輸入の減少は、国内需要の弱含みではなく、供給網の混乱が要因とみられる。資本財の輸入は過去最高だった。産業用資材と原料は2018年10月以来の高水準だった。
石油の収支は19年12月以来の赤字に転じた。原油高が要因とみられる。
輸出は2.6%減の1873億ドルだった。モノの輸出は3.5%減の1311億ドル。季節外れの寒気が多くの地域を覆ったことが要因とみられる。
インフレ調整後の実質的なモノの貿易赤字は991億ドルと、過去最高水準を付けた。1月は961億ドルだった。昨年10─12月期の平均を大幅に上回っており、貿易が第1・四半期の国内総生産(GDP)の押し下げ要因となる可能性を示した。貿易は過去2四半期、GDPを押し下げた。ただ第1・四半期のGDP予想には影響しないもようだ。第1・四半期GDPは現時点で年率最大10%伸びる見通し。昨年第4・四半期は4.3%増だった。
エコノミストはGDPの伸びが今年、7%を超える可能性があるとみている。実現した場合、1984年以来の大幅な伸びとなる。20年は3.5%減と、74年ぶりの大幅な落ち込みだった。国際通貨基金(IMF)は米経済がけん引する形で世界経済が今年6%拡大すると試算。米経済の伸び率は6.4%と予想している。