[リスボン 21日 ロイター] - ユーロ圏財務相は21日、リスボンで会合を開き、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)収束後の景気回復に楽観的な見通しを示す一方、経済に対する長期的な損害を防ぐと同時に、米中の後塵を拝さないよう尽力する必要があるとの見解を示した。
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のドナフー議長(アイルランド財務相)は記者会見で「回復は根強くなっているが、大きな課題になお直面してることも承知している」とし、「社会全般、市民、雇用主の財務状態がパンデミックで阻害され、傷跡が残るリスクは現実ものとして存在している」と指摘。欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)も、約10年前の金融危機と同様に、企業投資の減少という形でパンデミックの長期的な「傷跡」が残る恐れがあると述べた。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委は、EU加盟27カ国の経済は2022年央までにパンデミック前の水準を回復すると予想。ただ、米中が欧州より速いペースで回復すると予想される中、フランスのルメール経済・財務相は「一軍にとどまりたいのか、それとも中国と米国の後塵を拝したいのか」と述べ、ユーロ圏は潜在的な経済成長を後押しするために迅速に対応する必要があるとの考えを示した。
ジェンティローニ氏も「19年末時点の域内総生産(GDP)の回復に単純に満足することがあってはならない。力強く、安定的で持続可能な成長を目指している」と語った。