[ロンドン 15日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が15日に発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.2%上昇し、2012年3月以来約9年ぶりの大幅な伸びを記録した。新型コロナウイルス流行で大打撃を被った外食産業への支援策を受けて、昨年は外食費が下落していたことが背景にある。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は2.9%上昇。7月は前年比2.0%上昇していた。
8月CPIの前年比伸び率は、7月を1.2%ポイント上回り、1997年の算出開始以来少なくとも24年ぶりの大幅な加速となった。
統計局の専門家は「今回ような(伸び率)は一時的と思われる。『Eat Out to Help Out(外食をして支援しよう)』キャンペーンを受けて昨年はレストランやカフェでの飲食費が大幅に下落する一方、今年は上昇している」と述べた。
KPMG・UKのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「将来のインフレリスクを抑制するための金融引き締めや利上げのタイミングを探っているイングランド銀行(英中央銀行)にとって、インフレ加速は確かに気になるところだろう」と指摘。「しかし、引き締めを今行えば、景気回復を台無しにしてしまうリスクがある。よって、来年半ばまで先延ばしする公算が大きいとみている」と語った。
前財務相のジャビド保健相はCPIの大幅上昇についてBBCラジオに「恐らく一時的なもの」との見方を示した。
「世界的にインフレ率が上昇している。あらゆる政府は今後予算を策定する際に考慮しなければならない」と語った。
英中銀は、エネルギー価格の上昇や供給面の制約でインフレ率が年内に4%に達するとの見通しを示している。
統計発表を受けて、英国債利回りは上昇。来年の利上げの見通しが若干強まったとの見方が浮上した。
先週のロイターのエコノミスト調査によると、中銀は来年末までに利上げを実施する見通し。金融市場は、来年5月までに最初の利上げがあるとの見方を織り込んでいる。
8月のCPIは強い内容となったが、7月のCPIは予想を下回っており、市場関係者は、中銀が物価上昇を過度に懸念することはないだろうと指摘している。
同時に発表となった8月の生産者物価指数(PPI)は、投入指数と産出指数が、ともに2011年終盤以来の高い上昇率を記録した。原油価格が前年比で50%値上がりしたことが背景。