[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が15日に発表した8月の鉱工業生産統計は、製造業生産指数の上昇率が0.2%にとどまり、予想の0.4%を下回った。月末に米南部に上陸したハリケーン「アイダ」の影響のほか、新型コロナウイルス感染が再拡大する中、原材料と労働力不足が続いていることが響いた。
FRBは、アイダの影響で0.2%ポイント押し下げられたと推計している。前月の製造業生産指数は1.6%上昇と、1.4%から上方改定された。
ハイフリークエンシー・エコノミクス(ニューヨーク州)のチーフ米国エコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は「在庫が低水準にあることで、製造は今後伸びると予想されるが、現時点では供給面での問題で力強い回復が阻まれている」と述べた。
実際、原材料不足などが重しになり、8月は自動車・同部品の上昇率は0.1%と、前月の9.5%から大きく減速。自動車・同部品を除く製造業生産指数は0.2%上昇した。
鉱業生産指数は0.6%低下。ハリケーンの被害でメキシコ湾岸の原油・天然ガス生産が滞ったことが響いた。鉱工業生産指数は0.4%上昇と、予想と一致した。7月は0.8%上昇していた。
企業がどれだけ資源をフル活用しているかを示す稼働率は、製造業が76.7%と、前月から0.1%ポイント上昇。全体の設備稼働率は76.4%と、前月から0.2%ポイント上昇した。ただ1972─2020年平均をなお3.2%ポイント下回っている。
FRB当局者は、経済のスラック(需給の緩み)を見極める指標として稼働率に注目している。