[29日 ロイター] - 米商務省が29日公表した11月の財(モノ)の貿易収支(速報値)は赤字額が前月比17.5%増の978億ドルと、過去最大に達した。消費財や工業製品をはじめ輸入が大きく拡大する一方、前月に急増していた輸出が減少した。
10月の赤字額は832億ドルだった。これまでの過去最大は9月の970億ドル。
11月の輸入は4.7%増加。工業製品が57億ドル増の632億ドルと伸びをけん引。消費財も29億ドル増の約670億ドルと大きな伸びを示した。クリスマスを前に小売企業が品ぞろえ拡充を急いだことが背景。工業製品、消費財の輸入はともに過去最大を記録した。
オックスフォード・エコノミクスのリードエコノミスト、ナンシー・バンデン・ホーテン氏は「2022年第1・四半期にサービス活動が制限されれば、新型コロナウイルスのオミクロン変異株拡大により、輸入品の需要がさらに喚起される可能性がある」と指摘した。
輸出は2.1%減少。食品は4.3%増加したが、それ以外は全般的に弱かった。工業製品が14億ドル減、資本財が13億ドル減と落ち込みを主導した。
卸売在庫は1.2%、小売在庫は2%それぞれ増加した。
米国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車を除く小売在庫は1.3%増だった。
貿易は5四半期連続でGDPの伸びの重しとなったが、在庫は第3・四半期GDPの押し上げ要因となっていた。
商務省が今月初めに発表した10月の貿易収支(サービスを含む)では赤字が大幅に縮小したことから、貿易が今年第4・四半期のGDP改善に寄与するのではとの楽観的な見方が出ていた。しかし、過去最大の赤字となった今回のデータを受け、そうした見方は見直される可能性がある。
アクション・エコノミクスのエコノミストは、第4・四半期GDP伸び率予想を7.0%から6.5%に下方修正。JPモルガンとゴールドマン・サックスのエコノミストは7%に据え置いている。
*内容を追加して再送します。