[シンガポール 17日 ロイター] - シンガポール貿易産業省が17日発表した第4・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前年同期比6.1%増と、速報値の5.9%増から小幅に上方改定された。
ロイター調査のアナリスト予想は6.2%増だった。
2021年のGDP改定値は7.6%増。10年ぶりの高水準となった。速報値は7.2%増、20年は4.1%減だった。
政府は22年の成長率予想を3─5%で据え置いた。
第4・四半期GDPは前期比(季節調整済み)では2.3%増加した。
シンガポールの景気回復は貿易関連部門や製造業がけん引してきたが、観光や航空、消費者関連部門の経済活動は、今年末になっても新型コロナウイルス感染拡大前の水準を引き続き下回るとみられている。
貿易産業省のガブリエル・リム次官は「世界的な供給網の目詰まりは今年前半を通して続く見通しで、目先の鉱工業生産やGDP成長を抑制する」との見方を示した。
また「根強い供給網の目詰まりに加え、地政学的緊張によるエネルギー価格上昇が世界的なインフレ圧力を悪化させている」と指摘した。
建設部門の生産は22年を通してコロナ流行前の水準を下回ると予想されている。
シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は先月、金融政策の引き締めを決定。7年ぶりに定例見直しを待たずに行動した。4月に予定される定例会合でも引き締めが予想されている。
MASの副マネジングディレクター、エドワード・ロビンソン氏は「金融政策の観点からは、リスクバランスは依然としてインフレに傾いている」と分析した。その上で、MASは次回の金融政策見直しを予定通り4月に公表すると述べた。
同氏は22年のコアインフレ率予想を2─3%、総合インフレ率予想を2.5─3.5%と確認。この予想には18日の予算案で時期が発表される可能性が高い、物品・サービス税(GST)の引き上げによる影響は含まれていない。
17日に発表された別のデータによると、シンガポールの1月の石油を除く輸出(NODX)は前年同月比で17.6%増加し、予想を上回った。
オックスフォード・エコノミクスのPriyanka Kishore氏とSung-Eun Jung氏は、オミクロン変異株の波に加えインフレ圧力が高まる中、「22年上半期の成長モメンタムは連続的に鈍化すると予想している」と指摘。リサーチノートで「また、今年はさらなる金融引き締めと保守的な財政政策への回帰が予想される」と付け加えた。