[ジャカルタ 18日 ロイター] - インドネシア中央銀行が18日発表した2021年の経常収支は33億ドルの黒字となった。黒字は10年ぶり。ただ、債券市場からの資金流出に加え、輸入増や輸送コスト上昇により、第4・四半期の黒字幅は圧迫された。
コモディティー(商品)価格の高騰と旺盛な輸出需要に支えられ、黒字額は国内総生産(GDP)の0.3%に相当する水準を記録した。
インドネシアでは経常収支の赤字が続き、その分を外国からのポートフォリオ流入に依存していたことが、これまで通貨ルピア変動の主因の一つとなっていた。
エコノミストは、主要国が高インフレの中で流動性の引き締めを準備する中、昨年の経常収支の黒字は今年のルピア相場の安定に役立つと見込んでいる。
ただ、米国の金融引き締め計画が加速する兆候を背景に、既に債券市場からの資金流出に拍車がかかっており、第4・四半期の資本・金融収支を圧迫している。
経常収支の黒字も第4・四半期は14億2000万ドル(GDP比0.4%)と、前四半期の49億7000万ドル(同1.7%)から縮小した。
インドネシア中央銀行の政策立案者はこれまで、新型コロナウイルス流行からの経済回復が強まる中、緩やかなコモディティー価格や内需の拡大により、22年の経常収支はGDP比1.1─1.9%の範囲内で赤字に回帰する可能性が高いと述べている。
JPモルガンのアナリスト、Sin Ben Ong氏は、第4・四半期の債券流出額は49億ドルと、過去10年あまりで2番目の高水準だったと指摘。ただ、純外貨準備高は「非常に底堅く」、金融政策で米連邦準備理事会(FRB)と足並みを揃える必要性は低下するとの見方を示した。
バンク・マンディリのアナリスト、Faisal Rachman氏は、今年の経常赤字がGDP比2.15%となり、ポートフォリオ投資の流入は限定的になると予想。総合国際収支の黒字は昨年を下回る公算が大きいと指摘した。