[ワシントン 7日 ロイター] - 米商務省が7日発表した4月の貿易赤字は前月比19.1%減の871億ドルだった。減少率は2012年12月以来の大きさ。モノ(財)とサービスの輸出は3.5%増の2526億ドルで、過去最高となった。貿易が22年第2・四半期の経済成長に貢献する可能性を示唆した。
貿易は7四半期連続で国内総生産(GDP)を押し下げてきたが、第2・四半期は年率換算4.8%増が見込まれている。
ウェルズ・ファーゴ(ノースカロライナ州)のチーフエコノミスト、ジェイ・ブライソン氏は「米経済は多くの主要貿易相手国よりも急速に成長してきたため、米国の貿易赤字は2年前から拡大傾向にあった」とし、「第2・四半期は貿易がGDP伸び率に小幅に寄与すると予想している」と述べた。
輸出は、工業用品・材料がけん引。天然ガスや貴金属、石油製品など幅広く増加する中、石油は272億ドルと、過去最高を記録した。食品も過去最高で、大豆が21億ドル増えた。
資本財は12億ドル増の475億ドルと、19年3月以来の高水準。民間航空機が13億ドル増だった。
サービスの輸出は24億ドル増の765億ドル。旅行と輸送の増加が押し上げた。
一方、財・サービスの輸入は3.4%減の3397億ドル。これまでは、旺盛な内需に対応するため企業が在庫を積み増し、輸入が急増していた。
消費財は63億ドルの減少。繊維アパレル製品、家庭用品、玩具、ゲーム、スポーツ用品などが減った。医薬品も減少。工業用品と材料は53億ドル、金属製品は56億ドルそれぞれ減少した。
資本財の輸入は26億ドル減。コンピューターが19億ドル減少した。ただ、自動車・部品・エンジンは14億ドル増の337億ドルと過去最高。食料品も過去最高となった。
石油の輸入は252億ドルと、14年10月以来最高。4月の原油平均輸入価格は1バレル=94.99ドルと、14年8月以来最高だった。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ対応に利上げを実施する中、需要が抑制されつつあるほか、中国が実施した新型コロナウイルス対応策も米国の輸入減につながった可能性がある。中国からの輸入は101億ドルに減少。モノの対中貿易赤字は349億ドルと、前月の434億ドルから縮小した。
シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「モノに対する需要が鈍化すれば、輸入は一段と緩やかになる」と述べた。
サービスの輸入は9億ドル増の559億ドル。旅行などの伸びに支えられ過去最高となった。