[ロンドン 23日 ロイター] - S&Pグローバルが23日発表した6月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は予想以上に低下し2021年2月以来の低水準となった。物価高騰で消費意欲が減退した。
6月の総合PMIは51.9。5月は54.8、ロイターがまとめた市場予想は54.0だった。
S&Pグローバルは「ユーロ圏の経済成長に失速の兆しが出ている。新型コロナウイルス禍の蓄積需要という押し上げ効果が弱まり、生活費の上昇と企業や消費者の信頼感低下によって相殺されている」と指摘した。
総合PMIの新規事業指数は53.3から景況拡大と悪化の分かれ目である50.0に低下。16カ月ぶりの低水準となった。
サービス部門PMIも56.1から52.8に低下。市場予想の55.5を下回り21年4月以降で最低となった。
需要はほとんど伸びず、投入コストの記録的な上昇を一部顧客に転嫁せざるを得ない状況となっている。投入価格指数は77.4から78.3に上昇し、調査史上で3月と4月に次ぐ高さとなった。
製造業PMIは54.6から52.0と約2年ぶりの低水準に低下。市場予想の53.9を下回った。
生産指数は51.3から49.3に低下し、節目の50を2年ぶりに下回った。
S&Pグローバルは「商品需要の落ち込み、特に家計が苦しい消費者のサービス需要の減少で新規ビジネスの流入が停滞している。景況感は12年の景気後退後、パンデミックに見舞われるまではめったに見られなかった水準まで急激に低下した。需要が回復しなければ景気後退が差し迫っていることを示唆する」と指摘した。
製造業は、コストがなお高騰しサプライチェーン(供給網)が寸断されているため原材料の調達を減らしている。将来の生産指数は55.4から51.6に低下し20年5月以来の低水準。先行きに対する楽観的見方の後退を示した。