[ワシントン 1日 ロイター] - 米労働省が1日に発表した週間新規失業保険申請件数(季節調整済み、8月27日までの週)は前週比5000件減の23万2000件と6月下旬以来2カ月ぶりの低水準に改善した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は24万8000件だった。
前週分は6000件下方修正された。
物価高を受けて米連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを実施し景気後退リスクが高まっているが、雇用が冷える兆しはまだない。
ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「労働市場は依然として力強く、FRBによる積極的な利上げを援護している」と述べた。
失業保険申請件数は、労働市場の急減速を示唆するとエコノミストが指摘する27万─30万件を下回る水準で推移している。雇用の指標となる失業保険受給総数は8月20日までの1週間に2万6000人増え143万8000人となった。
調整前の申請件数は2492件減の17万6793件。コネティカット州、ミズーリ州、オクラホマ州、ジョージア州で大幅に減少した一方、マサチューセッツ州とニューヨーク州で大幅に増加した。
一方、国際的な再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、8月に米企業が発表した雇用削減は21%減の2万0485人だった。前年比では30%増加したものの、今年1─8月のレイオフは前年同期を27%下回った。
チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス上席副社長のアンドリュー・チャレンジャー氏は「雇用に関するデータは引き続き力強い労働市場を示している。求人件数は多く、レイオフは少ない。労働者は退職を遅らせているようだ」と指摘。「リセッション(景気後退)が迫っているとしたら、それは雇用のデータに反映されていない」と述べた。
8月の雇用削減のうち、テクノロジー業界が約4分の1を占めた。テクノロジー業界のレイオフは1─8月で1万4408人と前年同期で70%増加した。
8月の全体の雇用計画は4万1985人と7月から65%増加。前年同月比では55%減少したものの、1─8月では前年同期比18%増加した。