過去10年間の低金利環境と良好なマクロ経済環境が相まってグロース株が躍進し、バリュー重視の配当株は相対的に注目度が低かった。
しかし、インフレ率が急上昇し、市場が荒れ模様になるにつれ、投資家の関心はグロース株からバリュー株へと急激に移っているように思われる。現在では、配当利回りとバリューが今年の株式の投資判断材料としての存在感を高めている。
配当株は投資家にとってより安全な投資先であるが、それは無リスクの投資という意味ではない。例えば、高い配当利回りを実現している株式は、将来の成長を予測することが難しい市場セグメントに属していることが多い。
したがって、将来に備えたポートフォリオに配当銘柄を組み入れる場合には、詳細な調査が重要となる。投資家に報いてきた確かな実績を持つ、安定した企業を選ぶことが肝要だろう。
このことを念頭に置いて、老後資金用のポートフォリオで長期保有を検討しても良い比較的安全な配当銘柄を3つ紹介する。
1. United Parcel Services
ユナイテッド・パーセル・サービス(NYSE:UPS)は、最近の値下がりの後、魅力的な投資機会を提供している。グローバルに展開する物流企業である同社は、迫り来る不況が出荷ニーズと物流サービスの需要を低迷させるとの懸念を受けて、年初来16%株価は下落している。
UPS株の年間配当利回りは3.34%で、火曜日は179.92ドルで引けている。
しかし、クレディ・スイスの今週のメモによれば、UPSは、優秀な経営陣と長期的に配当を支払うことができる強固なバランス・シートを持つ優良企業群に属しているとのことである。
メモにはこうある。
「楽観的な見通しに頼らずとも、市場の他の分野と比較して、多くの運輸会社はバリュエーションを支える強力なファンダメンタルズを持っていると我々は考える。現在のバリュエーションは、長期的な視野を持つ投資家にとって多くの魅力的な機会を提供するだろう。」
UPSは過去20年にわたり増配を続けてきた実績を有する。2月、同社は1株当たりの四半期配当を49%増額し1.52ドルにすると発表した。これは、同社の株主還元策としては、最も大きな増配幅だ。
将来的には、UPSは調整後希薄化後EPSの50%を配当する予定だ。
クレディ・スイスは、UPSは高位な配当利回りを提供し、また「優れた」利益率を有する「運輸業界内で最高」のビジネスを手掛けていると評価している。
「UPSの広範な市場に対する割安感は、その中核事業の強さと、規模とサービスにおいてそのネットワークを拡大することの難しさの過小評価によるものであると我々は考える。」
2. Cisco
シスコ・システムズ (NASDAQ:CSCO) は、継続的な配当の支払いによって、起こりうる市場の低迷に対処する準備を整えた、潤沢なキャッシュを有する企業の一つである。サンノゼを拠点とするこのネットワーク大手は、ルーター、通信機器、その他企業がコンピューターを接続するために使用する機器の世界最大のメーカーである。火曜日の終値は43.06ドルであった。
シスコは、サイバーセキュリティ、アプリケーション、サービスといった新しい高成長市場領域において、ハードウェアからソフトウェア主導型モデルへの積極的な多角化を推進した結果、将来の成長見通しが大幅に改善された。
このような成長戦略と、売上の大部分を占める米州での圧倒的な地位により、同社はマクロ経済リスクが低下したときにアウトパフォームする立場にある。
シスコは、クレディ・スイスがアウトパフォーム評価をした、ハイテク株リストにも入っているが、今回の市場低迷で大きな打撃を受けた。それでも、投資家に配当金が入り続けるような、強力なフリー・キャッシュ・フロー総出力を有している。
過去12年間、毎年配当金を上げており、インカム収入の増加を求める人々にとって魅力的な選択肢となっている。同社は現在、1株当たり0.38ドルの四半期配当を支払っており、年間利回りは3.47%だ。
3. Verizon Communications
経済が不安定な時期には、通信事業者は信頼できる収入源とみなされるため、同社の株はお得感がある。経済がどのような状態になろうとも、インターネットやワイヤレス接続は、消費者が最後まで必需品リストから削除しないサービスの一つであろう。
このような将来見通しの安定性と消費者を引き付ける魅力は、投資家にとって投資妙味を高める。ベライゾン・コミュニケーションズ (NYSE:VZ) は、この分野において、確かな魅力を提供している。同社の火曜日の終値は50.46ドルで、年間配当利回りは5.02%、四半期配当学は0.64ドルとなっている。
米国最大のワイヤレス・キャリアである同社は、モバイル加入者により高価な5G無制限データ・プランの販売、ワイヤレス・ホーム・ブロードバンドの提供、大手テック企業とのパートナーシップの確保といった取り組みから、今後の成長を生み出すと期待されている。
ベライゾンはフェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ(NASDAQ:META)と協力し、ハイブリッド勤務/コラボレーションという新たな生活習慣やメタバース関連の消費者体験まで、さまざまなメタバースの機会を探っている。
テレコム株は、特に高グロース株と比較すると、多額のキャピタル・ゲインを得ることはできないかもしれない。しかし、これらの株はディフェンシブであり、経済的苦境にある退職者の助けになるだろう。
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