[ニューヨーク 28日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は28日に開催した投資家説明会で、業績不振にあえぐ消費者向け事業を巡り「戦略的選択肢」を検討していると述べ、売却の可能性を示唆した。
ゴールドマンは消費者事業の縮小に伴い既に無担保融資を停止しており、アナリストらはインターネット銀行「マーカス」の45億ドルのローンポートフォリオが売却される可能性があると指摘した。
ゴールドマンが投資家説明会を開催するのは154年の歴史の中で2回目。今回の説明会では、資産運用・ウェルスマネジメント事業の手数料収入を拡大し、フィンテック部門の業績向上を目指すと同時に、主力のトレーディング・投資銀行業務でシェアを拡大する方針を示した。
マーカスは昨年の事業再編で資産運用・ウェルスマネジメント部門に吸収された。一方、トランザクションバンキング、クレジットカード、21年に22億ドルで買収したフィンテック企業のグリーンスカイは新たに創設したプラットフォームソリューション部門に入った。
消費者向け事業は約3年間で30億ドルの損失を計上。監督当局の調査対象となっているほか、市場予想を大幅に下回る2022年第4・四半期決算にも重しとなった。ソロモンCEOは失敗を認めた上で、「われわれは常に学び、適応していく」と述べた。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、デービッド・ファンガー氏は「これらの事業が短期的にゴールドマンの収益性の足を引っ張っていることを踏まえると、あらゆる選択肢を模索するのは理にかなっている」と述べた。
ゴールドマンのジョン・ウォルドロン社長とプラットフォームソリューション部門のグローバル責任者ステファニー・コーエン氏も消費者向け事業のさらなる縮小を示唆した。
コーエン氏はプラットフォームソリューション部門について、25年までに税引き前ベースで損益を均衡させる見通しを示した。
<株価は下落>
28日の取引でゴールドマンの株価は3.8%下落し、競合他社をアンダーパフォームした。一部のアナリストは消費者事業に関する計画が具体性に欠けたと指摘した。
デニス・コールマン最高財務責任者(CFO)は、昨年実施した3200人の人員削減に続き、欠員補充を停止して戦略的な採用に絞っていると述べ、こうした措置で人件費が6億ドル削減されるとの見通しを示した。
ゴールドマンは有形株主資本利益率(ROTE)を15─17%とする長期目標を改めて掲げたほか、米国や世界全体でウェルスマネジメント事業のシェアを「大幅に」拡大する余地があるとの見方を示した。
ソロモンCEOはCNBCのインタビューで、中国の事業環境は今後数年でより厳しくなる見通しだが、同国の顧客に対し引き続きサービスを提供していくと述べた。
また、市場のセンチメントはやや改善しているが、顧客は依然として根強いインフレによる景気への圧迫を懸念していると指摘。資本市場は今年後半に改善する可能性があるものの、見通しには多くのリスクが伴うと語った。