[ウェリントン 18日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)政府は18日、2022/23年度(23年6月30日までの1年間)の財政赤字が69億6000万NZドルになるとの見通しを示した。
昨年12月時点の予想である36億3000万NZドルから赤字幅を上方修正した。
財政収支が黒字に戻るのは25/26年度以降となる見通し。従来予想より1年後ずれした。
税収の減少、物価上昇、景気減速が背景。政府は歳出を最低限に抑制することを迫られており、国債の増発を計画。27年6月までの4年間の総発行額を200億NZドル増額し1200億NZドルとした。
エコノミストは、新規歳出規模は予想外で、財政見通しも予想以上に拡張的だと指摘。ウエストパック銀行のエコノミストは、短期的にインフレ圧力を高めるとの見方を示した。
一方、財務省は現在の6.7%のインフレ率が24年半ばには3.3%まで鈍化すると予想している。
ロバートソン財務相は10月の選挙を前にした最後の予算案で、年初の自然災害を受けインフラ再建に資金を投じる方針を表明。生活費高騰に対処するため、新たな取り組みを進める方針を示した。
同相は「生活費の負担軽減、公共サービスの提供、サイクロン被害からの復興、経済回復力の強化を重視している」とした上で「過去の予算で見られたような高水準の支出は、財政的に持続不可能で続けることはできない」と述べた。
ただ、財務省は今年下半期の景気後退(リセッション)入りを予想していないと表明。サイクロン被害からの復興で経済活動が活発化しているほか、国境の再開で観光客が戻っていることが背景。
S&Pグローバル・レーティングは、ニュージーランドの格付けを「AAA」で維持しているものの、景気後退リスクとサイクロン被害からの復興が新型コロナウイルス禍後の財政再建を遅らせていると指摘。拡張的な財政スタンスが輸入物価を押し上げれば対外収支は一段と悪化し、格付けに影響する可能性があるとの見方を示している。