Jan Strupczewski
[ブリュッセル 11日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は11日、今年と来年のユーロ圏の経済成長予測を下方修正した。高インフレに伴う個人消費の低迷が背景。ドイツは今年、景気後退に陥る見通し。
ユーロ圏の経済成長予測は今年0.8%、来年1.3%。従来予測はそれぞれ1.1%、1.6%だった。
欧州委は「内需、特に消費の低迷を踏まえると、高水準で依然として上昇している大半の財・サービスの消費者物価が、春季の予想以上に大きな重しになっている」と指摘。
「エネルギー価格は下落し、労働市場は極めて好調で、記録的な低失業率、雇用の継続的な拡大、賃金の上昇が見られるが、それにもかかわらず」内需が低迷していると述べた。
ユーロ圏の消費者物価上昇率の予測は、今年が5.6%、来年が2.9%。5月時点の予測はそれぞれ5.8%、2.8%だった。
欧州委は「経済への銀行与信の急激な鈍化は、金融引き締めが経済に浸透しつつあることを示している」と指摘。
「サーベイ指標は夏季と今後数カ月の経済活動鈍化を示している。欧州の多くの地域では観光シーズンが好調だったものの、製造業は引き続き低迷し、サービス業も勢いが衰えている」としている。
ドイツの今年の経済成長予測はマイナス0.4%。5月時点の予測はプラス0.2%だった。来年の予測も1.4%から1.1%に下方修正した。
イタリアとオランダの今年の経済成長予測もそれぞれ0.9%、0.5%に下方修正した。従来予測はそれぞれ1.2%、1.8%だった。
フランスとスペインの今年の経済成長予測はそれぞれ1.0%、2.2%に上方修正。従来予測はそれぞれ0.7%、1.9%だった。