Yoshifumi Takemoto
[東京 22日 ロイター] - 総務省が22日公表した8月の全国消費者物価指数で、指標となる指数(除く生鮮食品、コアCPI)は前年比3.1%の上昇で、7月から横ばいだった。電気・ガスなどネルギー価格が下落した一方、宿泊料金などが上昇、食品価格の上昇も続いた。電気・ガス代の補助金がない場合は前年比4.1%の上昇だった。
<電気・ガス補助金がCPI押し下げ>
ロイターが集計した予測のコアCPIの中央値は3.0%上昇だった。
コアCPIの対象となる522品目中、前年比で444が上昇、41品目が下落、37が変化なしだった。
エネルギー価格は前年比9.8%下落で、7月の同8.7%よりマイナス幅が拡大した。うち電気代は同20.9%下落し、マイナス幅は1971年1月以来の大きさとなった。都市ガス代も同13.9%下落した。総務省は、電気・ガスの補助金がコアCPIを1.03ポイント押し下げたと試算している。
一方、ガソリンは補助率の縮小により前年比7.5%上昇(7月は1.1%上昇)した。
<食品値上げ続く、炭酸飲料16.7%上昇>
宿泊料は前年比18.1%上昇し、7月の同15.1%からプラス幅が拡大した。
生鮮食品を除く食料は7月と同様、前年比9.2%上昇した。主な上昇品目はからあげ(前年比8.4%上昇)、アイスクリーム(同12.7%上昇)、ハンバーガー(同13.4%上昇)、あんパン(同9.6%上昇)、炭酸飲料(同16.7%上昇)など。
このほか、トイレットペーパーが前年比15.2%、携帯電話料金は同10.2%上昇した。
物価のより基調的な動きを示すとされる指数(除く生鮮・エネルギー、コアコアCPI)は前年比4.3%の上昇で7月と同水準だった。
総合指数は前年比3.2%上昇し、7月の同3.3%から小幅にプラス幅が縮小した。
<2%割れの時期後ずれも>
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、食品や日用品の価格は上昇の勢いが鈍ったもののガソリンなどは高止まりしており「これまで物価は財の価格転嫁が中心で上昇していたのがサービス、人件費の転嫁が押し上げている」と指摘。コアCPIは来年4月以降、2%を割り込むとの見方だが「賃上げの動向次第では、2%の割り込みが一時的なものになる可能性もある」とみている。
(竹本能文 編集:田中志保)