Summer Zhen
[香港 27日 ロイター] - モルガン・スタンレーによると、中国企業の米預託証券(ADR)の売り持ちポジションが今月、1年ぶりの高水準を記録した。
米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢で株式市場が世界的に圧迫される中、グローバルなヘッジファンドが空売りを膨らませた。
中国ADRの空売り残高は今月22日時点で21億ドル。月間ベースでは、中国経済が新型コロナウイルス流行に伴うロックダウン(都市封鎖)下にあった昨年9月以降で最大となった。
空売り残高の算出はIHSマークイットのデータを基にしている。
今月、特に空売りが多かったのは、電気自動車(EV)メーカーの蔚来汽車(NIO)、電子商取引のPDDホールディングス、アリババ・グループ。
海外勢の中国株への投資配分は低く、今月は中国ADRの買い持ちポジションにほとんど変化は見られなかった。
「新たな売り持ちは、主に9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催された週に追加された。FOMCではタカ派的なガイダンスで米実質利回りが急騰し、世界の成長株がアンダーパフォームした」としている。
ヘッジファンドによる売り持ちポジションの解消が目立ったのは小鵬汽車(シャオペン)、理想汽車(リ・オート)など他の中国のEVメーカー。レバレッジ解消の資金を手当てすることが目的だった可能性があるという。
ニューヨーク上場の中国ADRで構成するナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は今月7%以上値下がりしている。
モルガン・スタンレーの推計によると、米機関投資家は今年、中国ADRを102億ドル売り越している。ロングオンリー型が66億ドル、ヘッジファンドが36億ドルの売り越しという。