[ワシントン 19日 ロイター] - 米商務省が19日発表した11月の一戸建て住宅の着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比18.0%増の114万3000戸と、2022年4月以来1年半超ぶりの高水準となった。住宅ローン金利の低下で潜在的な住宅購入者が市場に戻りつつあるため、着工件数は今後一段と増加する可能性がある。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「人々が自宅で過ごす時間が増えているため、米国の住宅需要はパンデミック(世界的大流行)前より恒久的に高まっている」と指摘。「長期金利が低下すると、建設業者はその需要を満たすために住宅市場への供給を増やし、経済成長を促進するだろう」と述べた。
10月の一戸建て住宅着工件数は96万9000戸と、従来の97万戸から若干下方修正された。
11月の一戸建て住宅着工件数は前年同月比で42.2%増となった。
地域別では、北東部、中西部、人口の密集する南部で急増。西部は減少した。
11月の一戸建て住宅の建設許可件数は0.7%増の97万6000戸と、22年5月以来1年半ぶりの高水準となった。一戸建ては住宅建設全体の大部分を占める。
米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面は終了した可能性があると示唆する中、米国では金利が低下。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年固定住宅ローン金利の先週の平均は6.95%と、8月以来の低水準を付けた。
5戸以上の集合住宅の着工戸数は8.9%増の40万4000戸。ただ、建設中の集合住宅が多いため着工は鈍化しつつある。
集合住宅の建設許可件数は9.6%減の43万5000戸だった。
一戸建てと集合住宅を合わせた全体の着工件数は14.8%増の156万戸。ロイターがまとめた市場予想は136万戸だった。
全体の建築許可件数は2.5%減の146万戸だった。
建設許可を受けたものの未着工となっている住宅は2.5%増の27万6000戸。そのうち一戸建て住宅が4.2%減の13万6000戸と5月以来の低水準となった。一戸建て住宅の完成件数は3.2%減の96万戸だった。
全体の完成件数は5.0%増の144万7000戸。
建設中の住宅件数は0.7%増の168万5000戸。そのうち一戸建てが1.9%増の68万戸となった。建設中の集合住宅は0.1%減の98万8000戸だった。
BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のシニアエコノミスト、ジェイ・ホーキンス氏は「住宅投資の低迷による国内総生産(GDP)の押し下げ要因は低下し始めているが、需給を均衡させ、値ごろ感が改善するにはしばらく時間がかかる」と述べた。