Niket Nishant Saqib Iqbal Ahmed
[6日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズは6日、ニューヨーク州を地盤とする銀行持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の長期格付けを「Baa3」から投機的(ジャンク)等級の「Ba2」に引き下げた。さらなる格下げの可能性も警告した。
中核である過去の商業用不動産融資、ニューヨークのオフィスや集合住宅物件での多額かつ予想外の損失が信用面の脆弱さにつながる可能性があると指摘した。
また、市場からの資金調達を多用しているため、現在の環境では財務の柔軟性が制限される可能性があるとした。
株価は引け後の取引で約13%下落。通常取引も22%安で終了していた。
フィッチも先週、NYCBの格付けを引き下げている。
NYCBのトーマス・カンジェミ最高経営責任者(CEO)は6日夜、「ムーディーズによる格下げは当行の契約の約定に実質的な影響は及ぼさない見込み」と説明。「ムーディーズ、フィッチ、DBRSによる預金格付けは依然として投資適格級だ」と述べた。銀行の経験が豊富な新たな最高リスク責任者と内部監査部門長を起用する手続きを進めているともした。
5日時点でNYCBがバランスシート上に保有するキャッシュは約170億ドル。預金総額は約830億ドルで、昨年末の814億ドルから小幅に増加した。
ハックマン・ウェルス・パートナーズの創業者、ラッセル・ハックマン氏は「CRE(商業用不動産)の厳しい状況を示す証拠には事欠かず、少なくともオフィスについては状況は悪化している」と指摘した。
CREを巡る懸念はイエレン米財務長官も留意しており、金融安定監督評議会(FSOC)が問題に対処していると語っている。