[北京 11日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が11日発表した6月の人民元建て新規融資は2兆8100億元(4193億ドル)と、前月の1兆8900億元から増加し、市場予想の2兆4000億元を上回った。
人民銀行は融資拡大を促している。前年同月は2兆1200億元だった。
住宅ローンを含む家計向け融資は8482億元で5月の2888億元から増加。企業向け融資も1兆5300億元から2兆2100億元に急増した。
Huachuang Securitiesのアナリストは「インフラ投資に関する政策が中長期の企業融資を後押しし、企業の資金需要が改善している」と述べ、家計向け融資の増加は、最近の不動産市場の緩和を反映していると指摘した。
1─6月の新規融資は13兆6800億元と、上半期としては過去最高。
マネーサプライM2の前年比伸び率は11.4%。ロイターがまとめた市場予想は11.0%だった。前月は11.1%。
6月末時点の元建て融資残高は前年比11.2%増。前月は11.0%増、市場予想は11.0%増だった。
通常の銀行融資に加え、新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などを含む広義の与信・流動性を示す社会融資総量残高は6月末時点で前年比10.8%増と、前月の10.5%増から加速。2021年6月以来の高水準となった。
6月の社会融資総量は5兆1700億元。前月は2兆7900億元、市場予想は4兆2000億元だった。
<緩和の余地は限定的>
人民銀行の易綱総裁は、国務院(内閣)が発表した政策パッケージに沿って、緩和政策を維持し景気を支える方針を示している。
しかし一部アナリストは、米連邦準備理事会(FRB)の利上げで中国から資本が流出する可能性があるため、人民銀行が特に金利を引き下げる余地は限られると指摘する。
興業証券のアナリストは「人民銀行はなお流動性を適度に潤沢にするだろう。人民銀行にできることはさほど多くなく、使える手段は基本的に全て使われている」とし「必要となれば、総量的政策措置を講じる余地がある」との見方を示した。
国務院は地方政府に対し、2022年の特別債発行枠3兆6500億元のうち、3兆4500億元のインフラ向け特別債の発行を6月末までに完了させるよう指示した。
債券発行が加速すれば、社会融資総量の拡大につながる。