[東京 12日 ロイター] - 新規上場のispaceは公開初日となった12日、公開価格(254円)の2.3倍の585円買い気配で取引を終了し、値がつかなかった。
同社は月への物資輸送サービスなど月面開発事業を手掛ける。世界で宇宙ビジネスが活発化する中、国内初の本格的な宇宙ベンチャーの新規上場(IPO)として投資家の関心を集めていた。
袴田武史代表取締役CEO(最高経営責任者)は東証引け後の記者会見で、株価は市場が決めることだとしたうえで「しっかりと今後事業を拡大していくということを着実にやっていきたいという思いを新たにしている」と述べた。
同社の月探査プロジェクト「HAKUTO―R」ミッション1では4月26日に月面着陸を予定しており、民間企業として世界初となる可能性がある。来年と再来年にはミッション2、3の打ち上げも予定され、注目イベントが続くことから「同社株の人気は持続する可能性がある」(国内証券のストラテジスト)との見方が聞かれる。
一方、市場では「多くの投資家は、目先の業績への期待より将来の夢を買っている」(別の国内証券のアナリスト)との声も出ている。同社の2022年3月期純損益は40億円の赤字で、23年3月期には112億円の赤字、24年3月期には78億円の赤字を、それぞれ見込んでいる。
2023年3月期は、契約締結済みのミッション1、2のペイロード(運搬)サービスの売り上げが前期比で増加すると見込む一方、費用面では、ミッション1の打ち上げに伴う費用計上のほか、ミッション2の開発が本格化することから売上原価、販管費が前期より多額になるという。