[ニューヨーク 19日 ロイター] - 米連邦債務の上限を巡るバイデン政権と共和党の交渉停滞は、連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続やバランスシート縮小の取り組みに当面は影響しないとみられるが、膠着が長引けばFRBは難しい選択を迫られる可能性がある。
政府債務は19日、31兆4000億ドルの法定上限に到達した。財務省は特別な資金繰り措置に着手し、6月上旬までは債務不履行(デフォルト)は回避する見込みとなった。
バイデン政権と議会共和党の駆け引きが続く一方で、FRBは8兆5000億ドルに上るバランスシートを毎月1000億ドル弱縮小し、インフレ抑制に向け政策金利を今後数カ月で5%を上回る水準まで引き上げることを視野に入れている。
マネタリー・マクロのジョセフ・ワン最高投資責任者は、政治の膠着は当面、「FRBの政策運営やバランスシート縮小に影響しない」と指摘。
アナリストは、財務省の資金繰り措置が数カ月後に限界に達し、市場が世界金融システムのあらゆる側面を揺るがす米国債デフォルトのリスクをより真剣に受け止めるようになれば、FRB政策への波及リスクも高まると見込む。同時に、今年予想される景気の緩やかな減速がはるかに厳しいものになり、FRBは政策の急転換を余儀なくされるかもしれない。
バンク・オブ・アメリカのアナリストは調査ノートで、FRBのバランスシート縮小の取り組みは、財務省がFRBに持つ口座から現金を引き出すことによって「ほぼ中和される」と分析。その結果、銀行がFRBに預ける準備預金が意図せず増加する公算が大きいとした。
FRBが短期的に注意しなければならないのは、緊急の資金供給を必要とするような市場の混乱だ。最悪シナリオでは、昨年秋にイングランド銀行(英中銀)が実施したように、FRBがバランスシート縮小を中断し、市場の安定化を図るために緊急国債買い入れに踏み切るよう迫られるかもしれない。