2日のニューヨーク外為市場ドル・円は、102円80銭まで下落した後、104円32銭まで上昇し、103円92銭で取引を終えた。
市場関係者が注目していた8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+15.1万人にとどまり、市場予想の+18万人程度を下回った。
平均時給は前月比+0.1%に鈍化したが、9月20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で利上げの可否について議論されるとの見方が広がり、ドル買いが優勢となった。
ただし、米株式市場は9月利上げの可能性は低いとの見方に傾き、NYダウ平均とナスダック総合指数はいずれも上昇した。
利上げ検討への警戒感は残るものの、8月の雇用統計は決定的な材料にはならないとの意見は少なくないようだ。
市場関係者の多くは9月利上げに依然として懐疑的だが、米ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏は8月の米雇用統計で9月利上げがほぼ確実になったとの見方を示した。
同氏はブルームバーグラジオとのインタビューで、「利上げは9月になるだろう。
100%に近いと思う」、「このような内容の雇用が決め手にならないのであれば、何が決め手になるのか確信がない」と述べたそうだ。
米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は、米労働市場は完全雇用に極めて近い状態であるとの見方を示しているが、一部の市場関係者は「そのような見方が正しいならば、非農業部門雇用者数が毎月15万人以上増えることはないだろう」と指摘している。
FRBの二大責務のひとつである「雇用の最大化」が仮に達成されているとするならば、あとは「物価の安定」だけだ。
足元のインフレ率は2%レベルの目標水準を下回っているが、利上げを行うことによって2%レベル到達がより難しくなるとすれば、利上げを急ぐ必要はないだろう。
ただし、FRBが2%レベルの物価目標に強い拘りを持たなければ、利上げは9月に実施されるはずだ。
利上げを先送りしなければならない絶対的な理由は見当たらない。
ビル・グロース氏の9月利上げ予想は傾聴に値するかもしれない。