[4日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。英議会が合意なき欧州連合(EU)離脱を回避する対策を取ったことで市場心理が好転した。また、香港の抗議活動が終わるとの期待からアジアへのエクスポージャーが高い銘柄が買われた。
英与党は3日、保守党議員の離党を受け過半数割れ。移行期間を設けずに10月31日に強硬離脱することを避ける法案の可決に向け、合意なき離脱に反対する議員たちが下院の主導権を握った。オアンダ(ロンドン)の市場アナリスト、クレイグ・アーラム氏は「総選挙で保守党が遅れを取れば2回目の国民投票の可能性が少し高まる」とした。
香港政府は、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を撤回。香港では改正案を巡って抗議活動が何カ月も続いている。[nL3N25V2CF]
撤回発表を受け、アジアへのエクスポージャーが高い金融大手HSBC (L:HSBA)と銀行大手スタンダード・チャータード(スタンチャート) (L:STAN)、保険大手プルーデンシャル (L:PRU)が1.8%から3.6%上昇した。
一方、住宅建設のバラット・デベロップメンツ (L:BDEV)は3.6%下落。今年度の売り上げ戸数見通しが目標範囲の下限に迫ると警告したことが嫌気された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。イタリアで新内閣が発足したことで同国株が買われた。また、英国や香港の政局不安が和らいだ兆しも市場心理好転の材料となった。
コンテ首相は新内閣を発足。新興組織「五つ星運動」と中道左派「民主党」の連立政権が樹立した。前倒し総選挙や政局不安の長期化を回避した。イタリアの主要株価FTSE・MIB指数 (FTMIB)は1.58%上昇。イタリアの銀行株指数 (FTIT8300)は1.75%上昇した。
英下院は3日、合意なき欧州連合(EU)離脱を阻み、離脱期日を延期させる法案の審議実施を承認した。ジョンソン首相は総選挙の実施を求めた。
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は4日、香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案を正式撤回すると表明し、買い安心感が広がった。
アジアへのエクスポージャーが高い金融大手HSBC (L:HSBA)や保険大手プルーデンシャル (L:PRU)が買われ、STOXX欧州600種銀行株指数 (SX7P)は1.24%上昇した。高級銘柄も買われた。スイスの高級ブランド、リシュモン (S:CFR)とフランスのケリング (PA:PRTP)、同LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) (PA:LVMH)は2.5%から3.6%上昇した。
<ユーロ圏債券> ドイツ国債利回りが上昇し、約2週間ぶりの高水準となった。イタリアで連立政権樹立が承認されたほか、英議会での合意なき欧州連合(EU)離脱回避に向けた動きを受け、政局リスクが一部後退した。
債券利回りはイタリアを除くユーロ圏全体で約5─6ベーシスポイント(bp)上昇。欧州中央銀行(ECB)当局者の発言を受け、来週のECB理事会で大幅な刺激策が発表されるとの期待が弱まった。
イタリア国債は買い継続。イタリアの左派政党「五つ星運動」が3日、中道左派の民主党(PD)との連立政権樹立の是非を問う投票を行い、賛成多数で承認。新政権発足に向けた最後の障害が取り除かれた。[nL3N25U3MZ]
イタリア10年債利回り (IT10YT=RR)は過去7営業日中6日営業日で低下。0.803%と過去最低を付けた。8月初めには1.5%を上回っていた。
また英国のEU離脱を巡る不確実性もやや後退。英下院が3日、EUからの離脱延期を求める法案の審議入り動議を可決した。[nL3N25U4FP]
コメルツ銀行の金利ストラテジスト、レイナー・グンターマン氏は、「英EU離脱を巡る懸念がある程度緩和され、リスクセンチメントが回復したことが債券売りの一因になっているようだ」と述べた。
一方、ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、ECBによる債券買い入れ策の再開について、現時点では議論の余地があると指摘。INGのシニア金利ストラテジスト、ベンジャミン・シュレーダー氏は、ビルロワドガロー氏の発言を受け「次回会合で失望するリスクが高まった」とした。[nL3N25U3SN]