[ロンドン 15日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会のブリハ委員は15日、英国の欧州連合(EU)離脱が再度延期されれば、英中銀は利下げを実施する必要があるとの考えを示した。
ブリハ委員はロンドンで行われたMMF金融・財政政策に関する会合で行った講演で、離脱が当初予定の3月29日から延期され、その後に成長が鈍化したことは、先行き不透明性の長期化による阻害を如実に示しているとし、英中銀はあまりに長い期間にわたり、離脱を巡る先行き不透明性がいずれ解消し成長は押し上げられると見積もってきたと指摘。「EU離脱を巡る先行き不透明性が長期化すれば、英経済成長は潜在能力を下回り、幾分かの金融刺激が必要になる公算は大きい」と述べた。
ブリハ委員は7月、離脱が再延期された場合の中銀の対応は、利上げ再開につながる可能性のある「円滑な離脱」と、金利がゼロ%近辺まで引き下げられる可能性のある「合意なき離脱」の中間になるとの考えを示していた。
この日の講演では、貿易戦争の激化を反映し7月以降に世界的な景気見通しが悪化したことに加え、英経済に内在するスラック(需給の緩み)が再び増大している可能性があると指摘。「離脱に関連した在庫積み上げやその他の一時的な要因で四半期成長率のボラティリティーは高まっているが、経済活動を示すその他一連の指標からは、基調的な経済成長率は現在はゼロ%に近いことが示されている」と述べた。
英中銀が取り得る措置については、量的緩和(QE)は選択肢の1つとなっているが、規模と効果の双方の面で限界に近づいていると指摘。米連邦準備理事会(FRB)がモーゲージ担保証券(MBS)も買い入れ対象としたことに言及し、英中銀も国債ではなく、他の資産を買い入れ対象にできる可能性があると示唆。ただ、景気刺激に向けたいわゆる「ヘリコプターマネー」政策については、中央銀行の独立性をリスクにさらす危険があると警戒感を示した。