[5日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場では、米中が通商合意に近づいているとの観測が高まる中、リスク選好度が上昇し、安全通貨とされる円とスイスフランが対ドルで下落した。
ドルが円とスイスフランに対し上昇したことで、主要6通貨に対するドル指数は3週間ぶりの水準に上昇。中国人民元も対ドルで上昇したほか、通商問題に敏感に反応する豪ドルも大きく値を上げるなどの動きが出た。
中国人民銀行(中央銀行)は5日、1年物中期貸出ファシリティー(MLF)を通じて金融機関に4000億元(569億2000万ドル)を供給。金利は3.25%と、前回の3.30%から5ベーシスポイント(bp)の引き下げた。コメルツ銀行はこの幅は「微小」と指摘。市場関係者はこうしたことも全般的なリスク選好度の上昇に寄与したとしている。
米中通商協議を巡っては、中国が「第1段階」の合意の一環として9月に発動された対中関税を撤回するよう求めていることが4日、関係者の話で明らかになった。米中は過去1年4カ月間にわたり、相互に関税措置を発動。ソシエテ・ジェネラルの外為戦略部門責任者、キット・ジャックス氏は、「第1段階の合意が得られる可能性はかなり高い」との見方を示した。
終盤の取引でドルは対円で109.21円、対スイスフランで0.9934フランと、ともに0.6%上昇。ドル指数 (DXY)は0.5%高の97.969となっている。
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが上昇し、10年債利回りは一時6週間ぶりの高水準を付けた。米中通商協議進展への期待や底堅いISM非製造業統計が売りを誘った。
米国が対中関税の取り下げを検討していると報じられる中、国債利回りは前日の海外市場で上昇。交渉に詳しい関係者によると、中国は米国との通商協議における「第1段階」の合意の一環として、9月に発動した対中関税を撤回するよう求めており、第1段階の合意には12月15日に約1560億ドルの中国製品に対する関税を発動する計画を取り下げる確約が含まれているという。
経済統計では10月のISM非製造業総合指数(NMI)が54.7と9月の52.6から上昇し、市場予想を上回った。先週末の底堅い雇用統計以降、市場ではリスク選好の回復が続いている。
10年債価格 (US10YT=RR)は20/32安。利回りは1.858%。一時1.873%と9月16日以来の高水準を付けた。2年・10年債の利回り格差は23ベーシスポイント(bp)と7月25日以降で最大となった。
市場では堅調な経済指標を背景に短期的な追加利下げ観測が後退しており、CMEグループのFEDウオッチによると、金利先物が織り込む12月の利下げ確率はわずか5%にとどまっている。10月初旬時点では44%まで達していた。
<株式> 米国株式市場はS&P500が小幅安で取引を終えた。米中通商協議進展への期待から前日は主要3指数がいずれも最高値を更新したが、この日は買いが一服した。
米中通商協議を巡っては楽観的な見方が強まっているが、投資家の間では慎重な姿勢も見られ、ここ数日は割安株が成長株をアウトパフォームしている。ラッセル1000バリュー指数 (RLV)が過去3営業日で2%近く上昇したのに対し、ラッセル1000グロース指数 (RLG)は0.8%上昇にとどまっている。
関係筋によると、中国は米国との通商協議における「第1段階」の合意の一環として、9月に発動した対中関税を撤回するよう求めている。
インバーネス・カウンセルの最高投資責任者ティム・グリスキー氏は「株価は過去最高値水準にあり、投資家は通商協議を巡りやや神経質になっている」と指摘。「間違いなく割安株へのシフトが見られるが、むしろ金利上昇を受けた金融株へのシフトや商品価格上昇に伴うエネルギー株へのシフトだ。両セクターは大きく売り込まれてきたため、割安になっている」と語った。
金融株 (SPSY)は、米10年債利回りが6週間ぶり高水準を付けたことを受けて0.42%上昇。原油価格が1%超値上がりし、エネルギー株も買われた。一方、金利に敏感な不動産株は1.76%安となった。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物市場では、投資家のリスク選好姿勢が強まる中、「安全資産」としての金は大きく値下がりした。
米中貿易協議の「第1段階」合意署名が月内にも行われるとの見方が台頭する中、導入済みの対中追加関税の一部撤廃も検討されていると米欧メディアが報じた。報道を受けて、リスク回避のポジションを巻き戻す動きが活発化。米株価が史上最高値を更新するなど、ここ数日の世界的な株高傾向も安全資産としての金需要を圧迫した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米中貿易協議の進展期待をはやした買いが入り、3営業日続伸した。
米政治専門紙ポリティコ(電子版)は4日、中国の習近平国家主席が貿易協議「第1段階」の合意署名のために訪米する条件として、米国による制裁関税「第4弾」の撤廃を求めていると報道。また、同日の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、トランプ米政権が第4弾の一部撤廃を検討していると伝え、交渉が進展しつつあるとの期待が広がった。
ドル/円 NY終値 109.15/109.16
始値 108.80
高値 109.24
安値 108.82
ユーロ/ドル NY終値 1.1074/1.1075
始値 1.1115 (EUR=)
高値 1.1116
安値 1.1064
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*05.00 2.3362% (US30YT=RR)
前営業日終値 99*16.00 2.2730%
10年債(指標銘柄) 17時05分 97*30.00 1.8566% (US10YT=RR)
前営業日終値 98*17.50 1.7880%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*07.50 1.6607% (US5YT=RR)
前営業日終値 99*16.25 1.6030%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.38 1.6225% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*26.13 1.5940%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 27492.63 +30.52 +0.11 (DJI)
前営業日終値 27462.11
ナスダック総合 8434.68 +1.48 +0.02 (IXIC)
前営業日終値 8433.20
S&P総合500種 3074.62 -3.65 -0.12 (SPX)
前営業日終値 3078.27
COMEX金 12月限 1483.7 ‐27.4
前営業日終値 1511.1
COMEX銀 12月限 1756.8 ‐49.8
前営業日終値 1806.6
北海ブレント 1月限 62.96 +0.83 (LCOc1)
前営業日終値 62.13
米WTI先物 12月限 57.23 +0.69 (CLc1)
前営業日終値 56.54
CRB商品指数 182.0895 +1.0012 (TRCCRB)
前営業日終値 181.0883 OLJPBUS Reuters Japan Online Report Business News 20191105T223618+0000