[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は5日、新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済に対する不確実性が増大しており、すでに広まっている保護貿易主義の影響に対する懸念が一段と高まっているとの考えを示した。
ラガルド総裁は訪問先のパリで、「米中貿易戦争の恐れは後退したようにみえるが、新型コロナウイルスの感染拡大で不確実性が高まっている」とし、「短期的な不確実性は主に世界的なリスクに関連している。こうしたリスクとして貿易や地政学要因が挙げられるが、今は新型コロナウイルスの感染拡大、およびこれが世界的な経済成長に及ぼす影響が加わった」と述べた。
ただ、こうした新たなリスクに対応するための政策措置については手掛かりを示さず、ECBの金利と資産買い入れを巡るフォワードガイダンスは実質的な自動安定装置として機能していると述べるにとどめた。
ECBは以前は世界的なリスクがユーロ圏の経済見通しの重しになると警告していたが、このところはリスクは後退しているようにみえるとし、幾分楽観的な見方を表明。市場ではECBによる追加利下げ観測が後退していた。
ただユーロ圏では昨年第3・四半期の経済成長率が0.1%と予想を下回るなど、景気は低調。ラガルド氏の今回の発言はユーロ圏経済の低迷が継続する可能性があることを示している。