[東京 4日 ロイター] - 日本製鉄 (T:5401)は4日、2021年3月期(国際会計基準)の連結事業損益が1200億円の赤字(前期は2844億円の赤字)になると発表した。主力の製鉄事業で1300億円の赤字見通しとなっている。ただ、需要が急減した上期の1500億円の赤字に対し、自動車など製造業の需要が改善することを受け、下期は300億円の黒字を見込んでいる。
5月時点では、通期見通しの公表を見送っていた。
宮本勝弘副社長は決算会見で、事業損益が赤字となることについて「量が落ちたことが非常に大きい」と述べた。通期の単独粗鋼生産は3180万トンを計画しており、前年の4185万トンから大幅に落ち込む。上期は1490万トンで稼働率は60―70%にとどまる。下期は稼働率80%で、1690万トンを見込んでいる。
コスト改善1400億円など「相当踏み込んでやっている」ものの、製鉄事業での需要減少をカバーするには到底至っていない。
今期は、年500億円以上の変動費改善、2000億円規模の固定費圧縮を行う予定。また、18年度から20年度の3カ年の設備投資は、当初計画の1兆7000億円を5月時点で1兆5000億円に圧縮していたが、さらに1000億円圧縮し、1兆4000億円とする。資産圧縮も積み増す。
同社では、従来からの市場構造変化が、新型コロナウイルスの影響で加速化することで、コロナ後も「さらに厳しい事業環境となることを前提に必要な構造対策の前倒し・追加を検討する」とした。
上期で事業損益が1500億円の赤字、純損益が2000億円の赤字見通しとなるなど、厳しい決算が予想されることから、中間配当は見送ることを決めた。
*内容を追加しました。
(清水律子)