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アングル:通貨の優劣決める財政余力、北欧や豪州が「勝ち組」

発行済 2020-10-19 07:09
更新済 2020-10-19 07:18
© Reuters. アングル:通貨の優劣決める財政余力、北欧や豪州が「勝ち組」

[ロンドン 15日 ロイター] - 新型コロナウイルスのパンデミック対策として世界各国が巨額の財政支出に踏み切っている状況について、債券市場は当然のようにごく普通に受け止めている。しかし外国為替市場の投資家は、どの国にあとどれだけ財政出動の余力があるかに神経をとがらせつつある。

特に先進国の大半が追加利下げ余地を失った今、投資家が通貨の値動きを占う上でより注目しているのが財政赤字だ。これまでは記録的な借り入れコストの低さが財政赤字を巡る問題を覆い隠してきたが、本来財政赤字は通貨安につながりやすい。そして投資家が各国の財政状況を改めて点検する中で、通貨に優劣が生じ始めている。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのグローバル通貨責任者ジェームズ・ビニー氏は「ほとんどの中央銀行は金融緩和の限界が近づいている。そこで金融政策と財政(政策)の重要度という点から財政が台頭してくるのは明らかだ」と述べた。

「勝ち組」はノルウェークローネ、スウェーデンクローナ、豪ドルになりそうで、実際これらの通貨は、財政赤字と公的債務の対国内総生産(GDP)比率が相対的に高い国の通貨をアウトパフォームしている。逆にポンド、カナダドルや、さまざまな新興国通貨が逆風に見舞われるかもしれない。

世界の準備通貨たるドルでさえ、この色分けから無縁ではいられないだろう。ビニー氏は、今後ユーロがドルに対して優位に立つとみている。ユーロ圏の方が、米国よりも投資家の動揺を誘わずに支出を拡大できる余地が大きいからだという。

政治情勢を考えれば、11月3日の大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利すれば、米国がより多額の支出に踏み切る公算が高まる。しかし、少なくとも数字上の財政の余力では、欧州に軍配が上がる。具体的には、公的債務の対GDP比こそいずれも100%前後で変わらないものの、今年度の財政赤字の対GDP比見通しは米国が16%なのに対してユーロ圏は8.5%程度にとどまる。

ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、キット・ジャックス氏は、欧州が追加的な財政支出に乗り出せば、足元で1.17ドル前後のユーロ/ドル (EUR=EBS)は来年中に1.20-1.30ドルまで上昇すると予想した。

<相対的な強さ>

ノルウェーは原油安が原因で25年ぶりの財政赤字に転じているが、クローネ (EURNOK=D3)

同じようにスウェーデンクローナ (EURSEK=D3)

資源国通貨では、今年に入って豪ドル

<円は例外>

ソシエテ・ジェネラルのジャックス氏によると、借金が多い国の政治家はさらなる財政支出を渋る可能性がより大きく、それが通貨を圧迫する。「(支出拡大に)どれだけ大胆になれるか、そしてまず、はじめに(追加支出能力が)どれだけ大きいかとの話だ」とし、来年にはそうした財政の問題がより中心になると予想した。

例えば英国は、スナク財務相が増税を通じた財政再建が必要だと警鐘を鳴らし、休業補償規模を縮小。今年度の財政赤字の対GDP比が18.9%と第2次世界大戦後最悪の水準に達し、債務の対GDP比も100%を超える見通しになっている。こうしたことから、ポンドは苦戦を強いられそうだ。

ポンドは既に英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感がマイナスに響いているため、今年はユーロとドルに対して下落している。 (EURGBP=D3)

ただ財政余力が通貨パフォーマンスを左右する流れには、円という例外が存在する。日本の債務の対GDP比が約230%に達しているが、そうした懸念を帳消しにしているのが国内の膨大な貯蓄だ。このため円

(Tommy Wilkes記者)

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