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アングル:地銀の自己資本比率、3割が警戒域 戦略転換迫る金融庁

発行済 2021-02-26 17:12
更新済 2021-02-26 17:18
© Reuters. アングル:地銀の自己資本比率、3割が警戒域 戦略転換迫る金融庁

和田崇彦

[東京 26日 ロイター] - 地方銀行の3割が自己資本比率7─8%台に落ち込む中、日銀や金融庁は地域の金融仲介機能が維持されるか、懸念を深めている。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、企業の資金繰り支援や先々の対応には資本の厚みが必要となるため、金融庁は財務基盤に懸念がある地銀に公的資金を申請するよう求めている。収益回復に厳しい環境の下、金融庁の部会では非上場化や信用金庫への業態転換を含む抜本的な戦略が必要との声も出ている。

<8%台でも懸念>

耳障りの良い「旬のテーマ」に取り組むとうたっているが、自己資本比率8%台で思うような融資ができるのか――。ある地銀の中期経営計画をにらみながら、金融当局の幹部は厳しい表情を浮かべる。

国内基準行の地銀にとって、自己資本比率8%は最低所要4%の2倍の水準に当たる。しかし、コロナ禍で与信費用が今後もかさむと見込まれる中では、8%が健全性を示す事実上のボーダーラインとの見方が当局者の間で広まりつつある。日銀では、地域の産業構造を転換したり、先々の不良債権処理を視野に入れれば、地銀の自己資本比率に相応のバッファーが必要だとの声も出ている。

昨年9月末時点で自己資本比率7%台の地銀は5行、8%台が19行。金融当局の目線に従えば、上場している地銀78行・グループ中、24行が「要警戒ゾーン」ということになる。

<コロナ禍の宿命>

新型コロナウイルスの感染者が急増する中、政府は今年に入って10都府県に緊急事態宣言を再び発出。金融庁は金融機関に改めて資金繰り支援を徹底するよう求めた。地銀も融資を積極化してきているが、貸し出しを伸ばすほど分母が大きくなり、自己資本比率には低下圧力が掛かる。融資を伸ばしても低金利の中で利益は伸びない。「自己資本比率として単純計算すれば1000億円融資して80億円の利益を出せということ。今の環境下ではとてもではないがそんな利益は手にできない」(地銀幹部)との声も漏れる。

昨年8月、改正金融機能強化法が施行され、政府が地銀に公的資金を注入しやすくなった。金融庁は「財務健全性がネックになって融資が十分にできないと悩むくらいなら、公的資金の申請をしてほしい」(幹部)と呼び掛けている。

しかし、「公的資金注入行」というレッテルが貼られることへの警戒感は根強い。自己資本比率が8%台のある地銀の幹部も「まだ十分にやっていける。公的資金の申請は検討していない」と話す。

<困難極める本業の立て直し>

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの廉了主席研究員は「本業をどうやって立て直していくのかが非常に大事で、そこのところが何もなくてただ自己資本を厚くしていけば大丈夫というのは違うのではないか」と指摘する。ただ、人口減少、低金利の長期化、コロナ禍と地銀の収益環境は厳しさを増す一方で、本業の立て直しは困難を極めている。

P/L(損益計算書)の悪化が続けば、着実にB/S(貸借対照表)がむしばまれる――。金融庁はこうした危機感の下、地銀に収益力の強化に向けた経営戦略の構築を急ぐよう繰り返し訴えてきた。しかし、収益力は戻らず自己資本比率は低下傾向にある。

昨年12月、金融庁で銀行制度の在り方を議論してきた作業部会が報告書をまとめた。地銀のシステム統合への交付金制度の創設が柱となったが、地銀の非上場化や信用金庫への業態転換を円滑に進めるための提言も盛り込まれ、収益に過度にとらわれず地域金融に徹する金融機関への脱皮を促す意図が透けて見えるものとなった。

「メニューはそろえた。あとは地銀の決断を待つだけだ」と、ある金融庁幹部は話している。

(和田崇彦 編集:石田仁志)

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