[ウェリントン 18日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(RBNZ、中央銀行)は18日の政策決定会合で、大方予想されていた利上げを見送り、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を0.25%に据え置いた。
アーダーン首相は17日、オークランドで新型コロナウイルス感染者が1人確認されたため、全土でロックダウン(都市封鎖)入りすると発表。中銀は声明で「今日の決定は、政府が全土でレベル4の制限措置を課したことを受けたものだ」と説明した。
先週のロイター調査ではエコノミストの大半が25ベーシスポイント(bp)の利上げを予想していたが、新型コロナウイルス感染者確認などの最新動向を受けて、一部の予想は決定会合の直前に変更されていた。
NZ中銀が利上げを行っていれば、新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)以降、アジア太平洋地域およびG10通貨ブロックで初めての利上げになるはずだった。だが、半年ぶりの感染者確認と全土のロックダウンで、今回の利上げは時期尚早となるリスクが生じた。
金利据え置きの発表直後、NZドルは0.7%下落し、9カ月ぶり安値となる0.6862米ドルを付けた。中銀が依然として利上げを見据えているため、その後は0.6930米ドル前後で取引されている。
野村証券のチーフ為替ストラテジスト、後藤祐二朗氏は、NZ中銀は新規感染を受けて様子見姿勢を取ったが、第4・四半期の利上げ予想は維持していると指摘。今回の決定は方針転換というよりは慎重を期すための据え置きだったとの見方を示した。
中銀当局者は引き続き年内の利上げを見込んでおり、OCRは年内に0.50%に達し、来年半ばには1.5%、2023年末には2%を超えると予想している。
市場では現在、10月の利上げ確率が60%と織り込まれている。
中銀のオア総裁は記者会見で、中銀の明白な方向は金融刺激策を縮小し、政策金利を引き上げることだと指摘。「ある意味でわれわれの大まかな路線は全く変わっていないが、向こう数日、数週間の動向を見極める一定の時間が与えられた」としたほか、「需要面に満足しているが、目下の懸念は供給能力を巡るものだ。そのため、われわれは中期にわたって引き続き金融環境の引き締めを管理する路線にとどまる」と述べた。
また、既に永続的な柔軟性を築いており、経済に対する新型コロナ流行の影響については以前ほど心配していないとの考えも示した。
ニュージーランド銀行(BNZ)のシニアストラテジスト、ジェイソン・ウォン氏は「NZ中銀は(利上げの)引き金を引く用意ができていたが、国内でのコロナ感染が前日に判明し、引き金から手を下ろしただけだ」と指摘。「あらゆる予想もインフレ・雇用の兆候も利上げの条件を満たしている。今回は不確実性が突然生じたため、利上げを遅らせただけだ」と語った。