[21日 ロイター] - ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)のホークスビー総裁補は21日、中銀が来月の政策決定会合でより慎重なアプローチを取る可能性を示唆した。大幅な利上げが行われることを期待した市場に冷水を浴びせる形となった。
ホークスビー氏は講演で、不透明感の中でリスクが均衡しているときに「各国の中銀はスムーズな経路をたどり、政策金利を据え置くか25ベーシスポイント(bp)ずつ引き上げる傾向がある」と指摘した。
発言を受けてニュージーランド(NZ)ドルは一時3週間ぶり安値となる1NZドル=0.7000米ドルを付けた。
NZ中銀は10月6日に金融政策決定会合を開催する。8月の決定会合ではロックダウン(都市封鎖)が実施されたことを受け、インフレ圧力が高まっているにもかかわらず政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)引き上げを見送った。
ANZ銀行のチーフエコノミスト、シャロン・ゾルナー氏は「不確実性が高いときは慎重なアプローチが適切と(ホークスビー氏は)強調した」との見方を示した。
「50bpの(OCR)引き上げが利上げサイクルの第一歩になる可能性は考えていなかったが、これで確認できた」と指摘。「OCRに関するわれわれの予想は変わっていない。10月と11月に25bpずつ引き上げ、その後は着実に利上げし、来年8月までに1.5%にするというものだ」と説明した。
ホークスビー氏は不透明感が高い中で、中銀の政策決定に関するアプローチを例えるなら従来の「タカ」や「ハト」ではなく、適応力の高い「サギ(white heron)」がふさわしいと述べた。
中銀は新型コロナウイルス危機の際に取った「最も後悔の少ない」政策は適応力が求められたとし、時にはゆっくり慎重で小さく動き、別の場合は自信をもって素早く大きく動くことを迫られたと話した。
「労働市場は持続可能な最大雇用の状態にあり、インフレ期待はわれわれの目標値でしっかりと抑制されている。金融市場もうまく機能し、われわれは今後に向け良い状態にある」と説明した。
さらに、政策委員会は8月に「インフレ期待を安定させるため、金融刺激策の水準をさらに引き下げることが最も後悔の少ない政策スタンスである」との認識で一致したと述べた。