[チューリヒ 23日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は23日、政策金利を据え置いて超緩和策を維持し、国内の景気回復について一段と慎重な見方を示した。
新型コロナウィルス禍からの景気回復の勢いは「やや鈍化した」と指摘、2021年の経済成長率予測を0.5%ポイント引き下げて3%とした。
中銀は声明で、「6月の時点では引き続き高い成長率を想定していた」とし、貿易と接客業の回復が予想よりも弱いことを挙げ、「物価の安定を確保しパンデミックの影響からの国内経済の回復を継続的に支援するため、拡張的な金融政策を維持する」とした。
スイスフランは依然「高く評価されている」とし、上昇抑制へ市場介入する意向を引き続き示した。
欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)が緊急対策の縮小の意向を示したが、ジョルダン総裁は記者団に対し、スイス中銀の政策変更に適した時期ではないと指摘。「世界の主要中銀が正常化の方向に進むとすれば、世界経済には非常によい兆候で、スイス中銀にとっても同様」と述べた。
その上で「スイスフランの価値は依然高く、インフレ圧力も引き続き非常に低い。拡張的な金融政策は妥当で当面変更する理由はない」と述べた。
FRBが11月にもテーパリング開始の意向を示したが、スイス中銀の緩和策変更にはつながらないとアナリストはみている。
ザンクトガレン・カントナルバンクのエコノミストは、「FRBが利上げを開始しない限り、スイス中銀への政策変更の圧力は最小限だ。FRBが2023年に利上げを開始した場合は、ECBの動きを待つか、独自の行動するかを決定しなければならない」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミストは、スイスの政策転換はかなり先とし、「大局的にECBが利上げするまでスイス中銀が利上げする可能性は低い。おそらくは予想期間よりかなり先の2020年代の後半まではないだろう」との見方を示した。