[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のアンドレア・エンリア委員長は2日、ユーロ圏の銀行は金利が長期にわたって低水準にとどまることをようやく受け入れており、新しい現実に対処するための事業転換を開始したとの認識を示した。
銀行監督に関連した会議で委員長は、新型コロナウイルス流行前には多くの銀行が利ざやが拡大し利益率が回復する金利上昇を依然待っていたと指摘。しかしコロナ流行を受けて「銀行セクターでは金利環境がより長期にわたって困難な状況にとどまるという認識が強まった」と述べた。
合併が2008年以来の水準まで活発化しているほか、各行は支店閉鎖や人員削減など新たなやり方でデジタル化を受け入れているとし、「各行は事業の売買を開始している。私の見方では各行のビジネスモデルへのリフォーカスとリバランスを示す、これまでで最良のシグナルだ」と語った。
ただ、事業転換が利益率に影響を与え始めるには数年かかる可能性があり、短期的にはコスト面で重しになるかもしれないとの見方を示した。
また、各行は不良債権のさらなる減少を見込んでいるが、各企業が依然として新型コロナの影響に苦しんでいることを考慮すると、過度に楽観的な見方である可能性があると指摘。「全ての銀行は基本的に、少なくとも2022年末までは不良債権総額の減少が続くと見込んでいる。われわれはもちろん、この見方がやや楽観的ではないかと懸念している」と述べた。