[北京 10日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が10日発表した10月の新規人民元建て銀行融資は8262億元(1292億7000万ドル)と前月の1兆6600億元から急減したものの、市場予想ほどは落ち込まなかった。
ロイターがまとめたアナリスト予想では8000億元まで減少すると見られていた。前年同月は6898億元だった。
アナリストは、スタグフレーションのリスクがあるため、人民銀行が慎重に金融政策を緩和すると予想している。
キャピタル・エコノミクスはリポートで「人民銀行が、不動産セクターの問題を受けて、支援の方向に傾いている兆候がある。このため、融資の伸びは今回が底かもしれない」と指摘。「ただ、いつものタイムラグがあるので、今後もタイトな信用状況が経済活動全体の逆風となるだろう」と述べた。
マネーサプライM2の前年比伸び率は8.7%で市場予想の8.3%を上回った。9月は8.3%だった。
10月末時点の元建て融資残高は前年比11.9%増と、前月の伸び率と変わらなかった。市場予想とも一致した。2002年5月以来の低水準で推移している。
民生銀行のシニアエコノミスト、Wen Bin氏は、人民銀行が目先、中小企業などの支援で的を絞った対策を講じるだろうと予想。
ゴールドマン・サックスは、人民銀行が今後1年で約1兆2000億元の資金支援を提供する可能性があると推定している。
住宅ローンが中心の家計向け融資は4647億元。9月の7886億元から減少した。企業向け融資は9803億元から3101億元に減少した。
コメルツ銀行のシニアエコノミストは、「家計の中長期融資が企業向けを上回ったことからみて、住宅ローンは増加している」と指摘。中銀によると、10月の新規住宅ローンは3481億元で9月から1013億元増加した。
10月の社会融資総量残高の伸び率は10.0%で、こちらも9月から変わらなかった。
社会融資総量には、通常の銀行融資以外の新規株式公開、信託会社の融資、債券発行などが含まれる。
10月の社会融資総量は1兆5900億元で、9月の2兆9000億元から減少。ロイターがまとめたアナリスト予想は1兆6000億元だった。