[フランクフルト 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は8日、エネルギー価格の上昇でECBが高インフレを「看過」するのをやめて物価抑制策を取らざるを得なくなる可能性を指摘し、特に低炭素社会への移行がインフレ要因であればそうなるだろうと述べた。
シュナーベル氏は講演で「低炭素への移行は、中期的にインフレ率の上振れリスクを生む」と指摘。「エネルギー価格の上昇で『看過』政策からの離脱が求められるかもしれない」と語った。
同氏は、ECBが政策転換を迫られる二つのシナリオがあると発言。一つ目はエネルギー価格の高騰が他の経済セクターに波及し、価格設定行動を変える場合だと話した。ただ、これまでのところは二次的な影響が広がっている兆候は見られないとの認識を示した。
もう一つのシナリオは、炭素税と低炭素社会への移行がエネルギー価格に大きな影響を与え、ヘッドラインのインフレ率が目標を上回る恐れがあるケースという。
シュナーベル氏は、低炭素化の過程で需給不均衡が長期化する可能性があり、排出権価格は一段高になる公算が大きいと指摘。その上で、これはエネルギー価格と電力価格が中期的に、これまでの平均以上に消費者物価の上昇要因になり得ることを意味すると付け加えた。
また、炭素税が経済成長のマイナス要因になる公算は小さく、むしろ若干プラスの影響をもたらす可能性が調査で示されていると説明した。