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[ニューヨーク 10日 ロイター] - ウォール街(米金融街)の一部大手銀行は、経済への供給ショックが緩和され、消費者物価が安定する可能性があるという流動的な状況にもかかわらず、3月以降で年内に4回の米利上げがあると予想している。
ゴールドマン・サックス、JPモルガン、ドイツ銀行は、2022年に連邦準備理事会(FRB)が少なくとも4回の金融引き締めを行うと予想するリサーチノートをいずれも発表。12月下旬時点で3回の引き上げという幅広いコンセンサスよりもタカ派的な予測となった。
ゴールドマンはさらに、FRBが早ければ7月にバランスシートの縮小(量的引き締め=QT=)に着手するとも予想した。
また、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)は10日、CNBCのインタビューで「人々の想定よりもインフレが悪化している可能性はある。個人的には年内4回の利上げで済むなら驚きだ。米経済は4回利上げ(の影響)を非常に容易に吸収するだろう」と指摘した。
ドイツ銀行は7日、12月の米雇用統計が市場予想を下回ったものの、最大雇用に向けて一段の進展を示したことから、年内に合計4回の利上げが実施されるとの見通しを表明。バランスシートの縮小は第3・四半期に開始されると見込んだ。
しかし、一部の投資家は米国のインフレがピークに近づいているのではないかと考えている。
クレセット・キャピタル・マネジメント(シカゴ)のジャック・アブリン最高投資責任者(CIO)は「(インフレ指標について)今週もおそらくハラハラするような数字を見ることになるだろう。インフレがピークに達すると予想しているのはこの辺りだ。何が起こるかというと、自然のサイクルがFRBを支援する。FRBが今年3回の利上げを行おうが、2回の利上げを行おうが、高インフレがそれほど長く続くとは思えない」と述べた。
ブリン・マー・トラスト(ペンシルベニア州バーウィン)の債券担当ディレクター、ジム・バーンズ氏は「インフレデータは高止まりするだろうが、賃金インフレの面でも、全てが幾分ピークに達しているように思われる兆候がある」と指摘。「問題はもう少し先の追加データが出始めるまで、あと1カ月はこうしたトレンドを確認できないことだ」と語った。
10日のフェデラルファンド(FF)金利先物市場では、今年の利上げ回数は約3.5回、23年の利上げ回数は2.7回、24年の利上げ回数は0.7回と示唆されている。
先週に12月のFRB会合の議事要旨が公表されて以来、3月に見込まれる最初の利上げから3年後の米金利を示すユーロダラー先物市場の見通しによると、市場は利上げサイクルのピークであるターミナルレートを1.8%と織り込んでおり、1カ月前の約1.4%から上昇した。