[18日 ロイター] - <為替> ドルが対円で6年ぶりの高値を更新した。インフレ抑制に向け、米連邦準備理事会(FRB)による一段と積極的な行動が必要となる可能性があるという当局者の発言がドルを支援した。
ドルはオフショア中国人民元に対しても0.1%上昇し、6.3716元。バイデン米大統領と中国の習近平国家主席が18日行ったオンライン会談には反応薄だった。
セントルイス地区連銀のブラート総裁は、0.25%の利上げを決定した今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%ポイントの利上げを主張したことについて説明する声明を発表。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は今年、3%以上に引き上げるべきとの考えを示した。
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「タカ派的なFRB当局者の発言がドルへの追い風となった」とし、「今週のFOMCはタカ派的だったが、一段とタカ派的な金融政策見通しが強調されている」と述べた。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.2%高の98.190。過去4日の下落から切り返したものの、この日付けていた高値からは下落した。
ドル/円は0.4%上昇し、6年ぶり高値を付けた。日銀は17─18日に開いた金融政策決定会合で、現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決定した。
ウクライナ情勢をにらみ、ユーロ/ドルは0.4%安の1.1054ドル。ただ週足では1.3%上昇と、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が初めて年内利上げの可能性を示唆した2月第1週以来の大幅な伸びを記録した。
豪ドルは4日続伸し、対米ドルで0.5%高。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは約2%、イーサは約5%それぞれ上昇した。
<債券> ウクライナとロシアの和平交渉に進展が見られずリスク選好度が低下する中、長期債が買われ利回りが低下した。一方で短期債利回りは米連邦準備理事会(FRB)のタカ派姿勢を背景に上昇が続き、利回り曲線の平坦化が進んだ。
一部で長短利回りの逆転が見られたことについて、ウクライナ紛争に起因するインフレ圧力とFRBの金融引き締めが相まって、将来的な景気減速を示すシグナルとの見方も出ている。
10年債利回りは2.145%、30年債利回りは2.416%に低下。一方、金融政策見通しを反映しやすい2年債利回りは1.956%に上昇した。
こうした中、2年債と10年債の利回り格差は18.7ベーシスポイント(bp)に縮小した。
5年債と10年債の利回り格差は0.1bpだが、一時逆転。7年債と10年債、20年債と30年債のほか、3年債と10年債、3年債と5年債の利回りも一時逆転した。
クレディ・スイスの金利トレーディング戦略部門責任者、ジョナサン・コーン氏は「連邦公開市場委員会(FOMC)の結果がタカ派的だったことで、利回り曲線は急激に平坦化している」と指摘。スワースモア・グループのシニア債券ポートフォリオ・マネジャー、スティーブン・シュバイツァー氏は、「今年から来年にかけて、経済成長が大幅に減速する兆候が全てそろっている」とし、景気後退の可能性が高まっているとの見方を示した。
ロシアがウクライナ侵攻を開始してから4週間目に入ったが、和平交渉に進展は見られていない。シティのストラテジストは「ロシアとウクライナの和平交渉の早期進展への期待が後退し、オーバーナイトの取引でリスク回避の姿勢がやや重しになった」としている。
この日はセントルイス地区連銀のブラード総裁が、0.25%の利上げを決定した今週のFOMCで0.5%ポイントの利上げを主張したことについて説明する声明を発表し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は今年、3%以上に引き上げるべきとの考えを表明。米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は、インフレ率が改善せず、インフレ期待が目立って高止まりした場合、0.5%の利上げを行う余地があるという認識を示した。
<株式> 上昇。ダウ工業株30種は274ドル値上がりして取引を終えた。最近低迷していたハイテク株に大幅に上昇した。この日行われた米中首脳会談は特に大きなサプライズもなく終了した。
投資家は連邦準備理事会(FRB)による今週の利上げやインフレ抑制に向けた今後の積極的な追加利上げの道筋を引き続き消化。原油価格の伸び鈍化にも好感した。
バイデン大統領は中国の習近平国家主席との電話会談で、中国がロシアに物質的支援を行った場合、「結果」が伴うと警告。双方は危機に対する外交的解決の必要性を強調した。
ナショナル・セキュリティーズの主任市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「会談から読み取れることは予想通りだった」と指摘。ロシアとウクライナの和平交渉が続いていることから、投資家は楽観的な見方をする傾向にあるとし、「ロシア・ウクライナ問題に関しては、情勢の緊迫化に対して否定的になるよりも、むしろ外交面でのニュースに肯定的になっている」とした。
インタラクティブ・ブローカーズの主任ストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は、FRBが予想ほど面倒な行動を取らなかったことに加え、最近130ドルを超えた米国の原油価格がこの日は100ドルをそれほど上回らなかったことが、投資家に安心感を与えていると指摘した。
この日は米国の株価指数先物、株価指数オプション、個別株オプションの3つのデリバティブ取引の決済が重なる「トリプルウィッチング」を迎えた。
医薬品のモデルナは6.3%高。全ての成人を対象とした新型コロナウイルスワクチンの2回目のブースター接種(4回目接種)の緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請した。
航空機大手ボーイングは1.4%高。737MAX機を巡り、デルタ航空から最大100機の画期的な受注獲得に近づいているとの報道を受けた。
ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.20対1の比率で上回った。ナスダックでも2.19対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は184億7000万株。直近20営業日の平均は145億6000万株。
<金先物> ロシアとウクライナの停戦交渉に注目が集まる中で売られ、反落した。中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比13.90ドル(0.72%)安の1オンス=1929.30ドル。週間では2.8%下落した。
<米原油先物> ロシアとウクライナの停戦交渉の行方に不透明感が広がる中で買われ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月4月物の清算値(終値に相当)は前日比1.72ドル 1.67%)高の1バレル=104.70ドルだった。週間では4.23%の下落。5月物は1.44ドル高の103.09ドルとなった。
ドル/円 NY終値 119.17/119.20
始値 119.06
高値 119.39
安値 119.01
ユーロ/ドル NY終値 1.1055/1.1059
始値 1.1037 (EUR=)
高値 1.1071
安値 1.1004
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*12.00 2.4210% (US30YT=RR)
前営業日終値 95*02.00 2.4850%
10年債(指標銘柄) 17時05分 97*17.00 2.1530% (US10YT=RR)
前営業日終値 97*06.00 2.1920%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*23.50 2.1461% (US5YT=RR)
前営業日終値 98*20.00 2.1690%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*05.13 1.9423% (US2YT=RR)
前営業日終値 99*05.13 1.9410%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34754.93 +274.17 +0.80 (DJI)
前営業日終値 34480.76
ナスダック総合 13893.84 +279.06 +2.05 (IXIC)
前営業日終値 13614.78
S&P総合500種 4463.12 +51.45 +1.17 (SPX)
前営業日終値 4411.67
COMEX金 4月限 1929.3 ‐13.9
前営業日終値 1943.2
COMEX銀 5月限 2508.7 ‐52.9
前営業日終値 2561.6
北海ブレント 5月限 107.93 +1.29 (LCOc1)<0#LCO:>
前営業日終値 106.64
米WTI先物 4月限 104.70 +1.72 (CLc1)<0#CL:>
前営業日終値 102.98
CRB商品指数 292.2492 +1.5151 (TRCCRB)
前営業日終値 290.7341