[東京 24日 ロイター] - 日銀の片岡剛士審議委員は24日、青森県金融経済懇談会(オンライン形式)で挨拶し、2%の物価目標を早期に達成し、日本経済が力強い成長軌道に復することを支援するため、より金融緩和姿勢を強める必要があると述べた。需給ギャップの拡大を促すため、長短金利の低下を明示した上で積極的な国債買い入れを行うことが適当だとした。
片岡委員は17―18日の金融政策決定会合で、ただ1人、金融政策の現状維持に反対票を投じた。
片岡委員は挨拶で、消費者物価は2022年度入り後、これまで物価を押し下げていた特殊要因のはく落で「一時的にせよ1%台半ばを上回る上昇率で推移する蓋然性が高い」と指摘。「原油価格の動向次第ではその動きがさらに強まる可能性もある」と述べた。しかし、消費者物価の基調的な動きをみる限り、「物価上昇は長続きせず、2%の物価安定目標に向けたモメンタムはみられない」と話した。
物価動向の判断にあたっては、消費者物価のみならず「企業物価やGDPデフレーターも含めた幅広い指標の動きをみる必要がある」と指摘。国内総生産(GDP)に関する物価指数であるGDPデフレーターは21年4―6月期以降、下落を続けている。片岡委員は「足もとの物価上昇が海外からの輸入品価格上昇によるところが大きく、国内における需要の拡大や賃金上昇が主な要因ではないことを意味している」と述べた。
片岡委員は物価の基調的な変動を示す指標を示し、一時的に消費者物価の上昇率が高まった2008年や2014年頃と同程度の水準に達しているものの、刈込平均、加重中央値、最頻値の水準は2%には遠く「2%の物価目標を安定的に達成できる環境からは距離がある」と述べた。