[オスロ 24日 ロイター] - ノルウェー中央銀行は24日、政策金利を予想通り25ベーシス(bp)引き上げ0.75%とした。景気を減速させインフレに歯止めをかけるため、従来の想定よりも速いペースで利上げを行う方針を示した。
利上げは昨年9月以降で3回目となる。ロイター調査ではエコノミスト全員が引き上げを予想していた。
中銀は、ウクライナ戦争で景気の先行き不透明感が強まっているが、ノルウェー経済は改善が続く見通しだと表明。
中銀のアイダ・ウォルデン・バーチェ総裁は声明で「金融政策委員会の現在の見通しとリスクバランスの評価に基づけば、6月に政策金利がさらに引き上げられる可能性が高い」との認識を示した。
政策金利は2023年末までに2.5%へ上昇する可能性があるとした。これまでは1.75%と予想していた。
中銀は声明で「稼働率と賃金の上昇、外部からの強い価格圧力によりインフレ率は今後上昇する」と指摘。「これはインフレ率の上昇を抑制し目標に戻すために、政策金利を引き上げることが現時点で適切であることを示している」と説明した。
中銀は、今回の利上げも含めて、2023年末までに8回の25bp利上げを実施する計画だと表明。中銀の従来予測を3回上回った。市場予測は6回だった。
中銀は、ウクライナ戦争や、物価上昇に伴う世界経済減速のリスクについて議論。供給制約に伴う物価上昇・賃金インフレ加速のリスクについても討議した。
中銀は「高インフレが続くと見込まれた場合は、早いペースでの利上げを実施する可能性がある」と表明。
バーチェ総裁は会見で、「持続的な高インフレを示す見通しが出た場合は、金利見通しよりも早めに利上げを行う可能性がある。つまり中間会合での決定、あるいは0.25%以上の引き上げとなる」と述べた。
ノルウェー中央銀行は通常、年4回の主要会議で政策変更を決定するが、中間会合も4回開催しており、必要に応じて金利を調整する可能性がある。
バーチェ氏は3月1日に総裁に就任、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が総裁に就任する「12月1日頃」に退任する予定。
ノルウェークローネは1044GMT(日本時間午後7時44分)現在、1ユーロ=9.48クローネと、中銀発表直前の9.47クローネから小幅下落している。ただ、依然として2018年終盤以来の高値付近で取引されている。
ノルウェーは西欧州で最大の石油・ガス産出国。キャピタル・エコノミクスはメモで、「中銀はタカ派的な姿勢を強めている」と指摘。エネルギー産出国のためウクライナ紛争による混乱を乗り切り、利益を得る立場にさえあるとの見方を示した。
ノルウェー経済は昨年、新型コロナウイルス禍から急回復していた。