[31日 ロイター] - ロシア中央銀行は31日に公表した金融安定報告で、西側諸国が制裁措置の一環としてロシアの外貨準備を凍結したことを受け、各国中銀が戦略を再考する中、ドルとユーロの国際通貨としての役割は縮小していくとの見方を示した。
中銀は、西側諸国が制裁の一環として凍結した資金の一部が差し押さえられる可能性があることも踏まえると、アジアや中東などの中銀が戦略を見直す可能性があるとし、「金に対する需要が増加する一方、準備通貨としてのドルとユーロの役割は縮小する」との見方を示した。
その上で「制裁措置による外国為替市場への影響の一つとして、ドルとユーロ以外の通貨の利用が増加する傾向にあることが挙げられる」とし、特に中国人民元について言及。このプロセスを加速させるために、ロシアはドルとユーロ建ての預金にマイナス金利を適用することを検討するとした。
ユダエワ第一副総裁はその後、マイナス金利の適用は法人の外貨建て預金に対してのみ検討され、個人の預金は対象にならないと述べた。
ユダエワ氏はまた、国際決済に暗号資産(仮想通貨)の利用を認めることに前向きな姿勢を表明。「仮想通貨を国際決済に利用することに原則的に反対しない」と述べた。
ただ、仮想通貨の広範な利用については、中銀は金融上の脅威との見方を変えていないとし、「特にロシアの金融インフラの中で、仮想通貨は利用者に対する大きなリスクになる。ロシアではこうしたリスクが拡大する恐れがある」と慎重な見方を示した。