[フランクフルト 1日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のアンドレア・エンリア委員長は1日、ユーロ圏の各銀行はまだ景気悪化の現実に十分向き合っていないとして、監督当局として一段と保守的な資本管理を強いる必要があると述べた。
欧州議会の公聴会で「多くの銀行が不利なシナリオの中で比較的穏やかなマクロ経済想定を使用しているようだ」と指摘。資本計画を綿密に精査し、「適切に保守的な水準」を確保するような経営行動を求めると語った。
消費者ローン部門の不良債権と、家計と法人顧客双方の初期の滞納が既に増加しているという。
また、金利の急上昇はほとんどがECBの利上げによるものだが、住宅・商業用不動産市場や消費者金融、レバレッジド・ファイナンスの脆弱性も浮き彫りにしているとした。
銀行のエネルギー集約型企業への与信エクスポージャーに注目しているとし、最近の一時的な担保要件緩和に照らして「特に正当化される」と説明。エネルギー市場の変動がエネルギー取引業者や生産者の財務を圧迫しており、規制当局は秋口の流動性収縮再発を避けるため要件を緩和している。
また、昨年のアルケゴス・キャピタル・マネジメント破綻や9月の英国債市場の混乱など一連の危機を受け、ECBが銀行とその他金融セクターの結びつきに関する調査結果を近く公表すると表明した。