[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 26日 ロイター] - 米国はトランプ、バイデン両政権下で貿易の脱中国シフトを進めたが、中国と結び付くサプライチェーン(供給網)への依存は必ずしも減っていないほか、消費者のコスト高をもたらした――。米ワイオミング州で開催されたカンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で27日、こうした研究論文が発表された。
論文を書いたのはハーバード大経営大学院のエコノミスト、ローラ・アルファロ氏とダートマス大タック経営大学院のデビン・コアー准教授。中国製品への関税導入や最近の産業政策、新型コロナウイルスのパンデミックなどにより、サプライチェーンには「大規模な再配置」が起こり、米国の中国からの直接輸入は「2016年の21.6%から、昨年は16.5%に減った」としている。
しかし、中国からのシフトは消費者向け価格上昇をもたらした一方、米国で製造業の効率性が上がるといった明確な恩恵は得られていないという。
中国からの輸入が減った分の大半はベトナムやメキシコに移ったが、中国は両国との貿易や投資を強化していると指摘。「米国は間接的に中国とつながり続けている可能性が十分にあるとした。
また企業からは、サプライチェーンを拡大するとパンデミックや悪天候、政治的なショックなどが起こった場合に供給が混乱する可能性がある、との懸念も生じていると論文は指摘している。