[ブラジリア 26日 ロイター] - ブラジル中央銀行が19、20の両日開いた金融政策委員会で利下げペースの加速を見送ったのは、インフレ期待が政策目標と一致していないとの懸念に加え、サービス部門の物価鈍化を巡って見解が分かれたためだったことが26日公表された議事要旨で分かった。
同委員会は政策金利(Selicレート)を追加で50ベーシスポイント(bp)引き下げ、12.75%とした。その際の議論で何人かの委員がサービス部門の物価上昇率の鈍化を指摘した一方、他の委員は慎重な見解を示した。足元の経済活動や労働市場の底堅さを念頭に、サービス部門の物価上昇に関わる基礎的な諸条件を注視したという。
同委員会はこれまで、50bpの追加利下げを示唆することで、今年後半に利下げペースが加速するとの市場の期待を和らげていた。現在は、インフレが予想外に大きく鈍化しない限り、大幅な追加利下げを行う可能性は小さいと強調している。
中銀は前週、2024、25年の物価上昇率予想を上方改定し、いずれも2年間限定のインフレターゲットである前年比3.0%よりも高い3.5%と3.1%とした。需給ギャップ逼迫や原油高、通貨レアル安、市場の金利先安観が要因だ。
ブラジル財政懸念や世界的なディスインフレ懸念、ブラジル中銀のインフレ対策が一段と手ぬるくなりかねないとの見方も、物価見通しがインフレターゲットから上方かい離しそうな理由として挙げた。
キャピタル・エコノミクスのチーフ・エマージング・マーケット・エコノミストのウィリアム・ジャクソン氏は、26日に発表された9月中旬のインフレ統計のうち、コア・サービス・インフレがわずかに上昇し、2月以来の伸び率縮小傾向が断ち切れたことを挙げ、委員の間で物価高再加速への懸念が深まりそうだと指摘。顧客メモの中で「利下げ局面は来年半ばまで50bpの幅で続き、その後は25bpとなり、24年末までに政策金利が9.50%になる」との予想を示した。