Alun John Naomi Rovnick
[ロンドン 4日 ロイター] - 世界の債券市場で4日、売りに拍車がかかり、米30年債利回りが2007年以降初めて5%を突破したほか、独10年債利回りが3%台に上昇した。
取引終盤には売りは和らいだものの、堅調な米経済指標、債券ラリーに対するトレーダーのポジション巻き戻し、供給増加などを背景に、主要国の金利がインフレを抑制するために長期にわたり高水準にとどまるとの見方が強まっている。
米10年債利回りは一時4.884%を付け、今週だけで20ベーシスポイント(bp)急上昇した。年初来では約100bp上昇している。昨年は200bp超上昇した。
価格上昇を見込んで債券を保有していた多くの資産運用会社が売りを出している。
資産運用会社アルテミスの債券ポートフォリオマネージャー、フアン・バレンズエラ氏は「ポジションが間違っており、(米国債の)売りには現在強い勢いがある」と指摘。
「米金利がピークを迎えていることから国債の買い場だという考えで多くの買いが入っていた」と語った。
米30年債利回りが5%台に乗せるのは世界的な金融危機以降初めて。3%台を付けたドイツ10年債利回りは昨年の初めにはマイナス圏にあった。
米30年債利回りはその後低下して4.87%。9月の全米雇用報告で民間部門雇用者数の伸びが予想を大幅に下回ったことを受けた。
オーストラリアとカナダの10年債利回りは今週20bp超上昇。英30年国債利回りは4日に一時5%を上回り、25年ぶりの高水準を記録した。
債券価格を圧迫している要因には供給の増加もある。政府は財政赤字を賄うために国債を発行しながら、最近の危機を通じて積み上がった大量の債券保有の縮小を進めている。
グラハム・キャピタル・マネジメントのパブロ・カルデリーニ最高投資責任者(CIO)は「売りのほとんどはテクニカルなもので、財政赤字による供給増と需要減が背景にある」と語った。
米政治のガバナンスに対する懸念も要因の一つだ。米連邦議会が政府機関の閉鎖を土壇場で回避した数日後に下院の一握りの共和党議員がマッカーシー議長を解任に追い込んだ。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツ(ロンドン)のグローバルマクロ戦略責任者、マイケル・メトカーフ氏は、このところの米国債安は「政局不透明感のリスクプレミアムが再び構築されつつあることを示唆している」と述べた。