<為替> ドルが急伸。12日発表された9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったことで、連邦準備理事会(FRB)が当面、金利を高水準に維持するという観測が強まった。
9月の米CPIは前月比0.4%上昇。住居費の0.6%上昇がCPI上昇の半分以上を占めた。前年比は3.7%上昇で8月と変わらずだった。エコノミスト予想は前月比0.3%上昇、前年比3.6%上昇だった。
BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏はCPIについて、「FRBが実際にインフレを抑制できるまで、金利は長期にわたりかなり高い水準にとどまる公算が大きいというシナリオを改めて浮き彫りにした」と指摘。「インフレを2%に戻すのは容易ではない」と述べた。
CIBCキャピタル・マーケッツの北米FX戦略責任者ビパン・ライ氏は「FRBはあと1回、おそらく12月に利上げに踏み切るだろう」と予想した。
主要通貨に対するドル指数は0.85%高の106.550と、1日としては3月15日以来最大の伸びを記録した。
ユーロ/ドルは0.85%安の1.0527ドル。
円は対ドルで0.43%安の149.81円。日本当局の「介入ライン」として意識される1ドル=150円に迫っている。
ポンド/ドルは1.15%安の1.2174ドル。
英国立統計局(ONS)が12日発表した8月の国内総生産(GDP)は前月比0.2%増加し、エコノミスト予想と一致した。7月のマイナス成長から一部回復したが、依然として低成長が続いている。
ドルは豪ドルとニュージーランドドルに対しても1%超上昇した。
スイスフランは7営業日ぶりに反落。ドルは0.72%高の0.9085フラン。
<債券> 米債利回りが上昇した。米CPIの伸びが予想を上回り、FRBが年内にもう一度追加利上げを実施する可能性が示唆されたことを受けた。また米30年債の入札で需要が低調だったことも利回り上昇につながった。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノール氏は「CPIを受け、今回の引き締めサイクルであと1回の利上げ実施が現実味を帯びてきたことが短期債利回りの上昇につながった」と指摘。「長期債は軟調な30年債入札が影響した。入札は今週、3日連続で実施され、幾分低調だったことで利回り上昇の勢いを強めた」と述べた。
財務省が実施した30年債入札は、最高落札利回りが4.837%と入札締切時の予想利回りを3.7ベーシスポイント(bp)上回った。応札倍率は2.35倍と低調で先月の2.46倍や平均の2.39倍を下回った。
今週実施された10年債と3年債の入札も低調だった。
米労働省が12日発表した9月のCPIは、家賃やガソリン代主導で上昇した。ただ、基調的なインフレの伸び鈍化を示唆した。
CMEのフェドウオッチによると、CPI発表を受け、米先物市場ではFRBが来月、政策金利を据え置くとの見方を引き続き織り込んだが、12月の利上げ確率は11日終盤の約28%から34%に上昇した。
エクイティ・キャピタルのチーフ・マクロ・エコノミスト、スチュアート・コール氏は「今回のCPI統計だけでは、FRBが10月31─11月1日の次回会合で利上げを実施する必要があると示唆するには不十分だった」としながらも、「FRBは金利をより長期にわたり高水準に維持する必要があるとのメッセージを正当化するものと受け止める可能性があり、再利上げの可能性は残されている」と述べた。
午後の取引で、米10年債利回りは10.2bp上昇の4.699%。米2年債利回りは6.4bp上昇の5.068%。
2・10年債の利回り格差はは一時マイナス34.20bpへとマイナス幅が縮小。終盤はマイナス37.40bpだった。
<株式> 反落して取引を終えた。低調な米30年国債入札を受け、国債利回りが上昇したことを嫌気した。
9月のCPIは、家賃やガソリン代主導で上昇したが、基調的なインフレの伸び鈍化を示唆した。
CPI発表後、S&P総合500種は前日終値をはさんで推移していたが、米東部時間午後1時(1700GMT、日本時間13日午前2時)に発表された30年債入札結果を受けて下落基調を鮮明にした。
S&P500の主要11セクターでは素材が1.5%安。金利に敏感な公益事業、不動産も1%超下げた。プラス圏で引けたのは情報技術とエネルギーのみだった。
住宅建設関連株が売られ、アイシェアーズ住宅建設ETF(上場投資信託)は4.6%下落した。
ボストン地区連銀のコリンズ総裁は11日、米経済が景気後退(リセッション)を回避する可能性は高まっているものの、インフレの目標回帰に向けた利上げまだ終わっていない可能性があるという認識を示した。
投資家は中東情勢も注視している。また、13日には金融大手のJPモルガン、ウェルズ・ファーゴ、シティグループが決算を発表する。
フォード・モーターは2%下落。全米自動車労働組合(UAW)が11日、同社最大のトラック工場で組合員8700人がストライキに入ったと発表した。
<金先物> 米物価指標の上振れをきっかけとしたドル指数や金利の上昇に圧迫され、5営業日ぶりに反落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比4.30ドル(0.23%)安の1オンス=1883.00ドル。
<米原油先物> 米エネルギー情報局(EIA)が発表した原油在庫が市場予想を大幅に上回ったことが圧迫要因となり、3日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.58ドル(0.69%)安の1バレル=82.91ドル。12月物は0.27ドル安の81.80ドルとなった。
国際エネルギー機関(IEA)は12日に月報を公表。2024年の石油需要の伸びの見通しを従来の日量100万バレルから88万バレルに下方修正したことも、相場の下押し要因となった。
一方、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘に伴う中東情勢の不透明感が強まる中、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は12日に放映されたロシアのテレビ番組のインタビューで、石油市場において「積極的な姿勢を取り」、市場を安定化させることは必要なことだとの見解を示した。
ドル/円 NY終値 149.80/149.81
始値 149.14
高値 149.86
安値 149.06
ユーロ/ドル NY終値 1.0526/1.0530
始値 1.0618
高値 1.0626
安値 1.0527
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 88*17.50 4.8553%
前営業日終値 90*08.50 4.7370%
10年債(指標銘柄) 17時05分 93*18.50 4.6969%
前営業日終値 94*10.50 4.5970%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.25 4.6941%
前営業日終値 100*02.75 4.6050%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.75 5.0708%
前営業日終値 99*31.63 5.0050%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 33631.14 -173.73 -0.51
前営業日終値 33804.87
ナスダック総合 13574.22 -85.46 -0.63
前営業日終値 13659.68
S&P総合500種 4349.61 -27.34 -0.62
前営業日終値 4376.95
COMEX金 12月限 1883.0 ‐4.3
前営業日終値 1887.3
COMEX銀 12月限 2195.9 ‐17.4
前営業日終値 2213.3
北海ブレント 12月限 86.00 +0.18
前営業日終値 85.82
米WTI先物 11月限 82.91 ‐0.58
前営業日終値 83.49
CRB商品指数 278.0823 +0.7008
前営業日終値 277.3815