[フランクフルト 1日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン専務理事は1日、ECBの人工知能(AI)モデルはユーロ圏のインフレ率がECB自体の予想よりも迅速に低下する可能性を示しているが、大きな不確実性をはらんでいると述べた。
ECBが新たに構築したAIモデルによる予測についてコメントするのは初めて。このAIモデルは約60の変数を使用し、従来のアルゴリズムでは発見できなかった変化を捉えることが可能という。
レーン氏の講演で示されたスライドによると、ECBのAIモデルが予測した6月までのインフレ率はECBのマクロ経済予測を大きく下回っており、より2%目標に近い水準が示された。レーン氏は、AIモデルで示された予測分布の中央値はECBの12月時点の予測を下回っていると述べた。
ただ、レーン氏はAIモデルが示唆する予測の「幅広い分布」には注意が必要だと強調。様々な可能性は捨てきれないため、新たなデータの発表を待つべきとの認識を示した。
このほか、紅海での物流の混乱については、全体的な物価指数に占める海運コストの割合が限定的であることから、これまでのところ欧州のインフレ見通しに重大な影響を及ぼしていないとした。